前置胎盤になったら安静に!急な出血を予防し安心して帝王切開出産を

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2016/06/13

前置胎盤になった妊婦さんが安静にしている図

通常受精をすると受精卵は子宮の一番奥の辺に着床します。そして着床した場所から胎盤が形成されます。

しかし時として着床した位置が子宮口に近くそのまま子宮の入口に胎盤が形成されてしまうことがあります。これを前置胎盤と言います。

前置胎盤になった場合産婦人科の先生から安静にするように注意されることが多いようです。

前置胎盤になると何故安静に気をつけなくてはならないのでしょうか。

前置胎盤になっても安心してお産を迎えるためには、どのような妊娠生活を送ることが必要になってくるのでしょうか?出産リスクなどとともに見ていきましょう。

前置胎盤の特徴や種類

前置胎盤の最大の特徴は、お母さんが妊娠して受精卵が着床してからの胎盤が形成される位置にあります。

前置胎盤の状態になると、子宮の上部に出来るのが正常なはずの胎盤が子宮の下部、あるいは子宮口を塞ぐ形で形成されてしまいます。

胎盤が正常より低い位置に付着し、胎盤が子宮の出口(内子宮口)にかかっていたり覆っていたりする状態を「前置胎盤」といい、その頻度は、全分娩の0.3~0.6%といわれています。また、前置胎盤のうち5~10%では、胎盤と子宮が癒着して胎盤がはがれない「前置癒着胎盤」となる可能性もあります。

しかし妊娠初期の間に前置胎盤として診断された場合でも、週数が進んでいくうちに徐々に胎盤が子宮下部から上の方向へ移動していくことがあります。

そのため妊娠中期までは診断は「前置胎盤疑い」となり、妊娠31週を過ぎても胎盤の位置が移動しない場合に正式に前置胎盤とされます。

前置胎盤の種類

前置胎盤には大きくわけて三つの種類があります。それは胎盤が子宮の入口を塞いでいる度合いによって判断されています。

 

種類 特徴
全前置胎盤 胎盤が子宮口の入口を完全に覆っている状態。
妊娠出産を考える上でもっとも重症と言える。
部分前置胎盤 胎盤の一部分が子宮口を覆っているが、子宮口には隙間がある状態。
低地胎盤 胎盤が子宮口の入口を僅かに塞いでいる状態。
辺縁前置胎盤 子宮口の入口に胎盤の端がひっかかっている状態。
前置胎盤の中では軽症。

お腹の中にいる胎児の立場ではママの身体から外に出て行く出口が塞がってしまっているわけですから通常の分娩が困難になります。

前置胎盤と診断された場合には基本的に帝王切開での出産となります。赤ちゃんとママの安全を考える上で一番よい処置だからです。

前置胎盤になることで起きる出産のリスク

前置胎盤の診断はすべてハイリスク妊娠とされています。

胎盤はお母さんの身体から赤ちゃんに酸素や栄養を運ぶ大切な通り道です。

その胎盤の位置が悪くなると出血の危険性が高くなるため、赤ちゃんにとっては命綱を切られるような状態になってしまうのです。

また妊娠中期から妊娠後期にかけての急な出血は、ママの体にも大きな負担をかけます。出血量が多い場合は母子双方の生命に危険が生じます。

お産の時に起きる主なトラブル

前置胎盤が正常分娩での出産を難しくさせているのは、胎盤に位置が下にあるために赤ちゃんがうまく出てこられないからです。

通常出産は子宮口が全開大になってから陣痛で子宮が収縮する力を利用し、赤ちゃんも自ら羊水を吐き出しつつお母さんのお腹の外に出ようとします。

前置胎盤で出産の際の様々なリスクを挙げます。

子宮口を胎盤が塞いでいる
赤ちゃんが外に出るのを邪魔している
切迫早産

お腹が急に張ることによって子宮口が急に開いていこうとすることから、そこに定着している胎盤が破れるように大量の出血が起きてしまう

逆子
胎盤が子宮下部にあることから赤ちゃんの頭の位置が安定せず、逆子になってしまう
癒着胎盤

通常なら分娩の後自然に剥がれる筈の胎盤が、子宮の壁に強く張り付いてしまって剥がれない。酷い場合は子宮を摘出しなくてはいけないことも

出産時の大量出血

通常出産の場合、出産後に胎盤が自然に剥がれ落ち出血しても、子宮上部にある胎盤を支える十分に備わっている筋肉が止血してくれるので、大量出血にはなりません。

しかし、子宮口付近や子宮の下部にはこのような筋肉があまり備わっていません。

更に、子宮口付近や子宮下部の内側は膜が薄いにも関わらず、子宮内膜の更に奥の血管にまで胎盤組織が侵入するケースも考えられます。

そうなると、出産後に胎盤が剥がれる時に血管が一緒に大きく破れ”大出血”を起こすリスクが高まります。

また、妊娠中でもなんの前触れもなく突然出血して止まらなくなる場合もあるので、十分に注意しましょう。

これらの危険を考慮しておかなくてはなりません。

前置胎盤で通常分娩を行うのはハイリスクで、管理入院による帝王切開での出産が行われるのです。

特に癒着胎盤になってしまっている場合には、最悪次の妊娠が出来なくなってしまうという危険が伴っているのです。

妊娠後期に入ったら設備の整った総合病院などで診察を受けて、いつどんなトラブルが起きても慌てないように準備しておかなくてはいけません。

前置胎盤になってしまうはっきりした理由はない!なりやすい例を紹介

妊娠した時に前置胎盤になってしまう原因というのははっきりしたことが分かっていません。だからママ自身が原因で起こるということではないのです。

前置胎盤になってしまうと、出産の時に赤ちゃんへの危険が大きくなってしまいますから、ひょっとするとママは自分のことを責めてしまうかもしれません。

ですが決してママに何かの原因があって、赤ちゃんの危険が及ぶということはありませんから不安に感じないで、受診の毎に担当医によく相談するようにしてください。

可能性として前置胎盤になりやすい例です。

  • すでに一度帝王切開で出産を経験している
  • 人工妊娠中絶の経験がある
  • 二子や三子などの多胎妊娠
  • 子宮筋腫などの子宮の手術の既往がある
  • 喫煙の習慣がある
  • 高齢出産である

ですがこのようなケースのすべてで前置胎盤が起こるわけではありませんし、高齢出産や多胎出産でも元気な赤ちゃんが生まれる事ももちろん多くあります。

しかし、喫煙に関しては、喫煙の習慣の無い妊婦さんと比較して喫煙の習慣のある妊婦さんは前置胎盤になる頻度が1.5倍と高くなっています。

非喫煙妊婦に対する前置胎盤のリスク比は1.4~4.4倍
喫煙量との関係はみられない。

前置胎盤を防ぐ意味でも喫煙は特に注意しましょう。

副流煙の危険もあるので、パパに理解を求めることも重要です。

前置胎盤と診断された場合の日常の注意点

前置胎盤と診断された場合に、もっとも気をつけなくてはいけないのは”急な出血を防ぐ”ことです。特に妊娠初期の間は注意が必要です。

まれに、警告出血、予告出血といって特に痛みもなく性器からの出血が起こることがあります。この時に血液とともに赤ちゃんが流れ出てしまう切迫流産が起こる可能性があるのです。

流産で赤ちゃんを失ってしまう危険を避けるためにも、急な出血には十分な警戒を持っておくことが必要になります。

出血を避けるためには、できる限りお腹に力が入らないように気を配り、気持ちも落ち着いた生活を心がけることが必要になるのです。

出血の可能性があるのは胎盤が低い位置にあるから

子宮口に近い部分のことを子宮頚部と言います。前置胎盤ではこの辺に胎盤が出来てしまうのですが、子宮頚部と子宮全体には構造上大きな違いがあります。

子宮頸部は妊娠週数が進むにつれて、お産の準備をするために筋肉が柔らかくなって組織が伸びやすくなっていきます。

これは赤ちゃんが問題なくママのお腹から外に出て行くために必要な機能なのですが、前置胎盤の場合大きな不安材料になってしまうのです。

子宮頸部は伸びていこうとしているのに、その上に胎盤が乗っかってしまっているので胎盤と子宮とのつなぎ目にずれが出来やすくなるのです。

前置胎盤の場合は週数が進むにつれて子宮の壁と胎盤の間に物理的な亀裂が生じ、出血してしまうかもしれません。

妊娠週数が浅いうちに出血が起きてしまった場合は、すぐに病院を受診してください。お産が始まってしまう前に胎盤が剥がれ落ちてしまう危険もあります。

早めに対応出来れば子宮収縮剤を使って出血を抑えて、出産に理想的な時期まで赤ちゃんをお腹の中で守ってあげることが可能になります。

病院で行なえる対処法

前置胎盤で出産を迎える場合は、出産予定日に向けて管理入院に入ります。その際に様々なケアを受けることが出来ます。

前置胎盤になった妊婦さんは、入院の際、通常よりも出産リスクが高いので病院での対応も変わってきます

鉄剤の処方
貧血になりやすいためです。また帝王切開の際の大量出血を警戒するために、出産の日に向けて自己血を貯めておいて輸血の準備をしておきます。
メンタルケア
初めての出産で前置胎盤になってしまうと、精神的に不安定になってしまうもの。早めの入院を申請することもできる。

赤ちゃん安全に生まれてくるためにも必要な週数は妊娠35週以降となるため、多くの妊婦さんが妊娠30週ごろから入院の準備を初めてお産に臨みます。

前置胎盤での出産について!基本は帝王切開での出産です

前置胎盤は、胎盤が子宮口を覆っているため経膣分娩では赤ちゃんが出にくかったり、更に出産時に胎盤が剥がれ、大量出血を伴うリスクが高まるため、帝王切開での出産がほとんどです。

また、帝王切開の方が子宮内がよく見えるため、出産後に胎盤が剥がれた後の処置や急な出血にも対応しやすいからとなります。

しかし、経膣分娩を選択される場合もあります。胎盤が子宮口を覆っていない低置胎盤など「胎盤の場所や位置」によって医師が判断した場合です。

ただし、出産途中で出血量が増えれば、母体や赤ちゃんの安全のために急遽、帝王切開になる可能性もあります。

また、子宮を摘出せざるをえないという状況も起こりえます。胎盤と子宮が剥がれにくい癒着胎盤の場合や、胎盤が剥がれたあと止血できない場合などです。

転院の可能性もある

個人病院で出産希望でも前置胎盤の診断を受けると出産リスクが高まるので、個人病院では対応しきれない場合があります。

妊娠後期の時点で、麻酔科のある総合病院や、早産の場合でもすぐに対応できるNICU(新生児集中治療室)のある大きな病院への転院 を余儀なくされることもあります。

万一の転院に備えて、かかりつけの医師に相談したり、自分で近くの総合病院について調べたり、出産前に健診の病院を変えておくことをおすすめします。

前置胎盤でも元気に出産はできます!

前置胎盤になると正常分娩は出来なくなりますが、きちんと病院に入って帝王切開の処置をしてもらえば元気な赤ちゃんを生むことが出来ます。

出産は正常分娩がベストであり帝王切開で生むと赤ちゃんのためによくない、などという声を聞くことがあります。しかしこれはまったく根拠のない考え方です。

前置胎盤の診断を受けても日常生活で緊張したり無理に体を動かしたりせず注意してお腹の赤ちゃんを守りましょう。

赤ちゃんがお腹の外に出ても大丈夫な「妊娠37週近く」までお腹に保っておくことが出来れば、帝王切開で生まれてきてもなんの問題もありません。

お産に臨むことは、経験のある妊婦さんでも初めての出産の時でも同じように不安で苦しいことだと思います。

特に初めての出産の時に前置胎盤になってしまったママは、毎日がとても不安で尚の事辛いと思います。

あまり不安感が強い場合には、病院と早めに相談して入院の手続きを取ることもできます。病院との連携がしっかり出来ていればいざ出血が起きてしまっても安心ですよね。

前置胎盤の状態で元気に生まれてくる赤ちゃんは大勢います。不安や心配もたくさんあることと思いますが赤ちゃんの生きる力も信じて毎日をおおらかに過ごしてください。

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