子宮を満たす羊水の役割と妊娠中に起こりうる羊水トラブルとは?

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2015/06/05

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お腹の中の赤ちゃんは、通常羊水とよばれる液体の中に浮かんで手足や頭などを動かしています。実際に羊水を目にする機会は少ないので、普段はあまり意識したことがないという妊婦さんがほとんどでしょう。

しかし、羊水には色々な役割があり、母体にも胎児にもなくてはならない大切なものです。また、妊娠中に羊水にトラブルが起きるケースもあります。

そこで、羊水の役割やトラブルについて説明していくので、万一に備えて羊水に関する知識を頭に入れておくことをおすすめします。

羊水とは

赤ちゃんはお腹の子宮内にある卵膜に包まれています。この卵膜内を満たしているのが羊水で、赤ちゃんは羊水の中にぷかぷかと浮かんだ状態で過ごしています。

妊娠初期の段階で羊水は母体の血液中の水分成分、血漿からできています。赤ちゃんの臓器や皮膚などが作られていく段階で、体から色々な成分が染み出て血漿に混じるようになります。

妊娠5ヶ月を過ぎる頃になると、赤ちゃんの体も卵膜も大きくなり、羊水の量も増えてきます。羊水の成分は99パーセントが水分で、残りは糖分やアミノ酸、電解質や脂質などの成分が含まれています。

羊水の量は、大体1週間で10mlのペースで妊娠週数が進むにつれ右肩上がりに増えていきます。

始め、妊娠初期の頃はわずか約25ミリリットルですが、妊娠20週を迎える頃には約350ミリリットルになります。

そして、妊娠35週に入ると800ミリリットルと最も多くなったのを境にして減り始め、妊娠40週の頃には500ミリリットルにまで少なくなります。

色やにおい

妊娠初期の頃の羊水は、主成分が母体の血液の水分成分でほぼできているので、透明でさらっとしていてまるで普通の水のような状態です。

もしくは、赤ちゃんの体内からの分泌物が混じることもあるので、やや黄色がかっていることもあります。

妊娠中期以降になると、赤ちゃんが羊水を飲み込んで尿として出すという肺呼吸の練習を始めるため、乳白色に近い白っぽい色へと変化します。味もなく、においもほとんどしません。

羊水の役割

子宮内の羊水には、赤ちゃんの成長を促したり、危険から守るために様々な役割があります。意外と知られていない羊水の役割について知ることで、羊水が母体にも赤ちゃんにもなくてならない大事なものであることがよく分かるでしょう。

衝撃を吸収する

羊水は子宮の壁と赤ちゃんの間にあり、外からの衝撃を吸収する役割を果たしています。 ママが転んでお腹を打ったり、物にぶつけたりすると少なからずお腹の赤ちゃんにも衝撃が伝わります。

しかし、羊水がクッションの役割をしてくれるおかげで、赤ちゃんへの衝撃がやわらぐので、よっぽど強い衝撃でなければダメージもほとんどありません。

運動機能を発達させる

赤ちゃんは卵膜内に満たされた羊水の中にぷかぷか浮いて、自由に動き回っています。羊水があるおかげで、赤ちゃんが動ける空間ができているというわけです。

全身を動かすことにより、骨格や筋肉などの発達が促され、運動機能を向上させてくれます。

お産を助ける

お産の兆候の一つとして、卵膜が破れて羊水が外に漏れ出す破水があります。羊水は、子宮口を柔らかくして広げ、赤ちゃんがするっと産道を通っていけるような潤滑油の役割をしています。

また、赤ちゃんが産道を通った後は、膣内を洗い流してきれいにしてくれます。羊水にはお産をスムーズに進める役割もあります。

肌を守る

羊水には肌をしっとり潤すヒアルロン酸などの保湿成分も含まれているので、赤ちゃんの弱い皮膚を乾燥から守り、潤いを持続させる効果があります。

また、生暖かい羊水が赤ちゃんを温めているので、ママの体温が下がったり、気温が低くて寒い日でも赤ちゃんの体温をほぼ一定に保つことができます。

心肺機能を作る

妊娠中期位になり、体の機能が徐々に作られてくると、赤ちゃんは羊水を飲んで肺に送り、循環させて外に出すといういわば肺呼吸の練習を始めます。 外に出てから、呼吸できるようにお腹の中でその準備をするわけです。

肺に送られた羊水は、その後小腸などに送られて血液中に溶け出してか全身をめぐり、腎臓に戻ってきて濾過されて尿として再び外に排出されます。

ということは、羊水のほとんどは赤ちゃんの尿ということになります。しかし、赤ちゃんの体から排出される老廃物は、胎盤を通じて母体へと返されるため、赤ちゃんの尿といってもとても清潔なものです。

赤ちゃんが呼吸の練習を何度も行うので、羊水は赤ちゃんの体内に取り込まれては新しく排出されるということが繰り返されます。

そのため羊水は常に新鮮で、綺麗な状態にあるため赤ちゃんが飲み込んでも全く異常はないと言えます。

病気感染から守る

羊水には、赤ちゃんを病気から守る免疫物質も含まれています。母体がウイルスや細菌に感染しても、赤ちゃんに感染が広がらないように阻止する働きをします。

羊水トラブル

羊水は必要な量や色などもほぼ決まっており、少なすぎても多すぎても、また濁ってしまった場合も赤ちゃんに悪影響を及ぼします。

羊水にトラブルが起きると、赤ちゃんの命に関わる場合もあるので、慎重に経過を観察する必要があります。

羊水トラブルは誰にでも起こりうるので、異変に早く気づいて適切な処置が受けられるようにトラブルについて知っておきましょう。

量の測り方

羊水量は、お腹の上に機械をあてて中の様子をモニターで確認する経腹超音波検査で測ることができます。

測り方は2種類あって、子宮の壁と赤ちゃんの間にできる空間の長さを調べるためにお腹から赤ちゃんまでの距離を垂直に測る羊水ポケット(MVP)があります。

更に、子宮内を十字に均等に4つに分けて、それぞれの子宮壁から赤ちゃんまでの距離を測り、4箇所の距離を合計する羊水インデックス(AFI)があります。毎回の妊婦検診で羊水量も正常か、こまめにチェックされています。

量が少ない

羊水ポケットが2センチ以下、羊水インデックスが15センチ以下、更に羊水量が100ミリリットル以下にまでかなり少なくなってしまうと、羊水過少症と診断されます。

羊水が減ってしまうと赤ちゃんと子宮の壁との空間がなくなり、母体が受けた外部からの衝撃が赤ちゃんに伝わりやすくなります。

更に自由に手足が動かせなくなって、四肢が変形したり、赤ちゃんが飲み込む羊水量も減るので、肺機能が未発達のままになります。

また、胎盤が子宮と赤ちゃんの間に挟まれて圧迫され、血流が滞って赤ちゃんに必要な酸素や栄養分が行き届かなくなって、赤ちゃんの成長にも影響を与えます。

羊水量が少なすぎるというのは、赤ちゃんが出すおしっこの量が少ない、尿を作り出す機能が低下しているもしくは卵膜が破れて、羊水が漏れ出していることなどが考えられます。

赤ちゃん側の原因としては、腎臓機能の低下や尿路の閉塞、染色体異常などが考えられます。母体側の原因としては、妊娠高血圧症候群など胎盤の血流を妨げるような疾患があることがほとんどです。

また、胎盤が出産前に剥がれてしまう早期胎盤剥離や前期破水、胎児の腎臓の働きに影響を与える解熱剤や鎮痛剤などの服用、血流を悪くする喫煙なども原因の一つとして考えられます。

特徴と症状

  • 妊娠週数の割にはお腹が小さすぎる
  • 破水が起きる
  • 胎動が少ない
  • お腹に触れると赤ちゃんの体に直接触ったような感じがする

羊水過少と診断されると、入院して検査を行い原因を見つけます。判明した原因に合う治療を行い、羊水量が改善されるかを経過観察していきます

治療するのが難しい場合は、赤ちゃんの命のリスクを考えて帝王切開などで予定日よりも早めに出産させて、赤ちゃん自身に直接治療やケアを行うことが最善とされる場合もあります。

量が多い

羊水ポケットが8センチ以上、羊水インデックスが25センチ以上、更に羊水の量がピーク時の800ミリリットルよりも多くなった場合は、羊水過多症と診断されます。

羊水が多過ぎるということは、赤ちゃんが羊水を飲み込む量が少ないかもしくは、おしっことして出される量が多過ぎるなどの異常が考えられます。

赤ちゃん側の要因としては、消化器官や脳の神経などに何らかの異常や疾患が見られる可能性があります。逆に妊婦さん自身が糖尿病だと赤ちゃんの血糖値も上がって、尿の量が多くなる場合もあります。

いずれにしても、原因を突き止めて改善していく必要がありますが、羊水過多症の約半数は原因が分からないとされています。

羊水量は超音波検査で測ることができますが、母体にも症状が現れるのでチェックしておきましょう。

特徴と症状

  • お腹が膨らんでパンパンになり、張りやすくなる
  • 呼吸が苦しくなって、横向きに寝られない
  • 膀胱が押されて、尿漏れや頻尿になる
  • 足のむくみがひどくなる
  • 子宮内が高圧になり、卵膜が破れやすくなる
  • 破水しやすくなり、早産のリスクも高まる
  • 胎児がくるくる動き、逆子になることも
  • 産後子宮収縮が弱く、出血しやすくなる

羊水過多との診断を受けると、まず原因を突き止めるために入院して様々な検査をします。原因がわかれば、それに合った処置や治療を行います。

原因不明の場合でも、羊水量が増えていくようであればお腹に針をさして、少しずつ慎重に羊水を抜いて羊水量を減らしながら、赤ちゃんと母体の経過観察を行い、妊娠を継続させてできるだけ予定日近くに出産を迎えられるようにします。

濁る

羊水は妊娠初期では透明もしくはやや黄色がかった色、中期以降は乳白色とほぼ色は妊娠経過によって決まっています。

ところが、羊水が緑色や茶色などに変色して濁る場合があります。この色の変化は赤ちゃんが便を排出したことによる場合がほとんどです。

通常赤ちゃんは出産後に初めて便(胎便)をしますが、ストレスを感じたりするとお腹の中で胎便することがあります。予定日間近であったり、予定日が経過してからの胎便は、分娩が近いということであまり問題はありません。

しかし、まだ予定日がだいぶ先の場合の胎便は、母体や胎児がウイルスや細菌に感染しているなど、何らかの異常が起きている可能性もあります。

羊水が胎便で濁ってしまうと、赤ちゃんが呼吸しづらくなって肺の機能が低下する場合もあるので慎重に経過をみていく必要があります。

健康に気をつけて過ごそう

赤ちゃんの命にも関わる羊水のトラブルは、誰にでも起こりうるものだと聞くと不安になってしまう妊婦さんもいるでしょう。

しかし、万一トラブルを抱えることになっても、適切な処置を受けるなどして、無事に元気な赤ちゃんを出産したママさんもたくさんいるので、あまりに不安になりすぎないようにしましょう。

羊水の量や質なども含め、赤ちゃんにとって快適な子宮環境を整えてあげるためには、まずママ自身が健康でいることが大事です。

母体を健康に保つためには、特別なことも難しいこともする必要がありません。毎日の食事の栄養バランスに気を付け、妊婦さんに不足しがちな葉酸、鉄分などの栄養素を補給してあげましょう。

更に体調がよければ適度な運動をして体力をつけたり、ストレスをためないように趣味などで気分転換しましょう。

そしてお酒やタバコはやめる、体に負担のかかるような無理をしないといったことなどに日々心がけていきましょう。

母体の健康はそのまま羊水や子宮の状態を良くして、赤ちゃんの発育を促すことにつながるので、自分の体を気遣いながら楽な気持ちでマタニティライフを送りましょう。

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