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母子へのリスクが高まる妊娠糖尿病。早めに予防するには?

2015/05/10

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妊娠糖尿病は、実に妊婦さんの8人に1人という高い割合で患うとされる病気 なので、妊娠中ならいつ自分の身に降りかかるかわかりません。

でも妊娠糖尿病は、あまり馴染みがなくてどんな病気が詳しく知らないという妊婦さんもいるでしょう。そこで、妊娠糖尿病の基礎知識や予防方法などを紹介するので頭に入れておきましょう。

妊娠糖尿病の原因

妊娠前は異常がなかったのに、妊娠により血液中のブドウ糖の量、血糖値が増加してしまう、つまり妊娠が原因となる糖尿病のことを言います。

そもそも、体のエネルギーの元となるブドウ糖は、食事をすることで体内に吸収され、血液中でインスリンという体内ホルモンにより分解されて血流に乗り、全身の細胞に送られています。

しかし、インスリンが上手く働かないとブドウ糖が血液中に溢れ出して、全身の細胞に運ばれなくなり、血糖値が上昇して糖尿病になる 場合があります。

また、妊娠糖尿病は妊娠以前から糖尿病であった場合とは区別されるので、注意しましょう。

インスリンの働きが弱まる

妊娠すると、妊娠前までは卵巣から分泌されていたエストロゲンなどの女性ホルモンが、赤ちゃんと母体をつなぐ胎盤から分泌されるようになります。そのため、インスリンの働きが弱まり、ブドウ糖を分解する機能が低下してしまいます。

多量のブドウ糖が作られる

妊娠中は、お腹の赤ちゃんの分までブドウ糖が必要となり、食事から取り込んだ分のブドウ糖だけでは不足します。そこで、母体が蓄えている脂肪を分解してブドウ糖を作るようになるため、ブドウ糖過剰となります。

インスリンが不足する

胎盤からは、インスリンを分解してしまう酵素が分泌されるようになります。 すると、母体内で分泌されているインスリンの量が不足するため、ブドウ糖を十分に分解できなくなります。

インスリンが効きにくくなる

ブドウ糖を作り出すための過剰な脂肪代謝や、ホルモン分泌など体に変化が起こることでインスリンが正常に働かない状態、つまりインスリン抵抗性ができてしまいます。 そのため、インスリンが妊娠前よりも効きにくい状態になってしまいます。

なりやすい人

  • 妊娠前から肥満体型で、脂肪がつきやすい体質の人
  • 妊娠前は痩せていたのに、妊娠後から急に体重が増えた
  • 両親や兄弟姉妹で糖尿病を患っている人がいる
  • 経産婦で、以前に体重が4キロ以上の巨大児や先天異児を出産した経験がある
  • 過去に早産や流産したことがある
  • 年齢が35歳以上である

母体や胎児への影響

妊娠糖尿病が悪化すると、母体や胎児にも影響を及ぼします。ひどくなると、母子の命に関わることもあります。

母体へのリスク

  • 妊娠高血圧症候群 
    血糖値が高い状態が続くと、血管がもろくなって血流が滞りがちになり、高血圧や蛋白尿などが出やすくなります。
  • 羊水過多 
    子宮内の羊水の量が一定以上に増えてしまう場合があります。悪化すると母体が呼吸困難を起こすこともあります。
  • 胎盤早期剥離 
    赤ちゃんが産まれるよりも前に、胎盤が子宮内膜から剥がれてしまう可能性もあります。母子の命の関わることもあります。
  • 難産 
    胎児が大きくなりすぎると、難産のリスクも高まり帝王切開での出産になるケースもあります。

また、場合によっては流産や早産を招く可能性もあります。そして、妊娠中に妊娠糖尿病と診断されると、4人に1人は出産後から将来にむけて糖尿病になる可能性があるので注意が必要です。

そのため、産後も定期的に病院を受診して血糖をしっかりチェックしたり、炭水化物や糖分の取りすぎないように気をつけましょう。

胎児へのリスク

  • 低血糖  
    多すぎるブドウ糖を分解するために、赤ちゃん自身のすい臓から分泌されるインスリンの量が増えるため、血糖値が低い状態で産まれる場合があります。
  • 巨大児  
    赤ちゃんに糖分が過剰に行き渡り、体が大きくなりすぎる場合があります。
  • 発育不全や心臓病 
    血管がもろくなって血流が悪くなるため、胎盤を通じて赤ちゃんへ送る栄養分が不足し、十分に赤ちゃんが育たない場合もあります。発育が不十分だと、心筋症などの心臓病を抱えていたり、時には命に関わる場合もあります。

検査と診断基準

採血して、血液中にどの位の量のブドウ糖が含まれるかというブドウ糖負荷試験を行います。妊娠初期の段階で一度は行います。

また、妊婦検診に行くと、ほぼ毎回採尿して提出してい尿内に糖分が出ているかも調べています。尿検査で糖が3回程続けて出ているようならその都度、ブドウ糖負荷試験も行われます。

検査方法は、当日朝食を食べないで10時間以上空腹の状態と、その後ブドウ糖を摂取してから1時間後と2時間後にそれぞれ採血して、血糖値を測定します。

血糖値が各採血時における規定の値を超えた場合に、妊娠糖尿病と診断されます。

治療法

一般的に糖尿病と言うと、即座にインシュリン注射が必要になると思われがちですが、ほとんどの場合はそうではありません。

妊娠糖尿病と診断されたら、まずは食事療法で様子を見てから、必要に応じて薬物療法を行うというように、段階的に治療をしていきます。

食事療法と運動

  • 1日総摂取カロリーを1600キロカロリーにする
  • 野菜が中心で、薄味のヘルシーな献立になる
  • 食後の急激な血糖値の上昇を抑えるために、食事は1日6、7回に分けて少しずつ摂る
  • 食後は血糖の値を測定する
  • 他に合併症がなく、医師の許可があればカロリー消費のために、ウォーキングなど軽い運動も取り入れる

薬物療法

食事療法でも血糖値の改善が見られない場合は、インスリンを使った薬物療法を取り入れます。毎食後に血糖値の上昇を防ぐために、インスリン注射を自分で行います。

インスリンは妊娠初期の方が効き目が良いですが、中期から後期になるとインスリンの効き目が弱くなるので注射量が増えることもあります。

予防法

妊娠糖尿病は一度かかると、治すのもとても大変です。できればかからないようにしたほうがよいので、日常的にできる予防法を実践しましょう。

食事編

妊娠初期の辛いつわりが終わると、途端に食欲が出てきて食べ過ぎてしまい、妊娠中期から後期にかけて急激に体重が増える妊婦さんもいます。妊娠糖尿病予防のためにも、普段から体重を意識しつつ、食事内容や摂り方に気をつけましょう。

食事の内容

  • 油ものや脂肪分を摂り過ぎないようにし、魚もしくはヘルシーな赤身の肉をメインとした和食中心の食事にしましょう
  • 1日3食、炭水化物の主食に、魚や肉のメイン、海藻や野菜、大豆製品の副菜などを栄養バランスのよい献立を考えましょう
  • ケーキやクッキーなど糖分や脂肪分の多いおやつを控えめにし、小魚や酢こんぶ、スルメなどをおやつがわりに食べましょう
  • 果物は栄養価が高いですが、意外と糖分も多いので食べ過ぎないようにしましょう
  • ラーメンなどのインスタント食品やファストフードの食べ過ぎに気をつけましょう

食事の摂り方

  • 1日3食、できるだけ決まった時間にしっかり食べましょう
  • 食べる時はよく噛んで、ゆっくり時間をかけましょう
  • まずは、汁物や副菜を食べてお腹を満たしてからメインや主食を食べるようにしましょう

体を動かす

安定期に入ったら、できるだけこまめに体を動かすようにしましょう。運動は適度なカロリー消費になるので、急激な体重増加を抑えたり、体を動かして筋力を鍛えることで、出産時もしくは産後の育児に向けた体力作りにもなります。

また、何もしていないと口寂しくなったり、ストレスが溜まってついお菓子に手が伸びてしまいがちになります。体を動かすことで、よい気分転換にもなるし、ストレス発散にもなります。

まずは、近所を短時間でもよいので散歩がてらウォーキングしましょう。慣れてきたら少しずつ時間と距離を伸ばしましょう。

また、妊婦さん向けのマタニティヨガやスイミング、エアロビクスなどの教室に通うのもおすすめです。

こまめな体重チェック

あまりに神経質になる必要はありませんが、急激に増加していないか時々は自宅で体重をチェックしましょう。また妊婦検診は必ず受診し、異常がないかをきちんとチェックしてもらいましょう。

妊娠糖尿病は症状が悪化すると、母体や赤ちゃんの命に関わる場合もあります。早期発見・治療がとても大事ですが、やはりかからないようにすることが一番なので、普段から予防策を生活に取り入れていきましょう。

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