日本は帝王切開に否定的…偏見を持たれてしまう理由とアドバイス

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2017/04/07

帝王切開は厳しいお産であるのに「出産の苦労を避けた」「痛みを知らない」などと言った否定的な意見も少なくありません。

帝王切開を乗り越えた母親本人も「陣痛の経験をしたかった」「産んだ直後に赤ちゃんを抱っこする感動的なシーンを味わいたかった」と経腟分娩思考が強く、憧れだった経験ができずに寂しい思いをするママも多いのです。

妊婦さん本人も出産を見届ける側も、自然分娩主義とも言える日本独自の考え方が根強く、帝王切開の偏見に悩まされる事が多いのは事実。

しかし出産方法の違いで、どちらが偉いかどちらが素晴らしいかなどと区別をする事は到底できません。

なぜ、そこまでして帝王切開への偏った見解は根強いのでしょうか。その理由と偏見から自分を守る方法についてご紹介していきます。

帝王切開の偏見が根強い理由

帝王切開の偏見が強い背景には、日本独特の文化や考え方が影響していると思われます。帝王切開はなぜ否定させてしまうのか、その理由についてご紹介します。

帝王切開は増えているのに偏見はなくならない現実

厚生労働省の統計では、総出産数の約20%が帝王切開で出産しているとの結果が出ていて、それは約4人に1人の割合です。

出産数は減少しているのに、帝王切開は増加しているという現状も。20年前と比べて約3倍近くに増加しています。

理由としては、高齢出産の増加や、医療技術が進歩してきたことで安全に手術ができるようになった背景があると言われています。

帝王切開が増加している中でも、未だ帝王切開に対して否定的な意見を示す人は少なくありません。

  • 帝王切開は苦労していないからお産と言わない
  • 楽な産み方を選んでいるから母親失格
  • 産道を通らない赤ちゃんは忍耐力がない
  • 帝王切開で産んだ母親は虐待しやすい

このように帝王切開に偏見を持った意見もまだまだ根強いよう。そのために、帝王切開にならざるを得なかった妊婦さんは引け目を感じてしまったり、その事実を隠そうとしたりと心に傷を負ってしまうケースもあります。

帝王切開の偏見は日本独特の文化

帝王切開のマイナスイメージが根強い理由としては、昔からの「忍耐の精神、我慢の美学」が影響していると思われます。

『お産は何時間も辛い陣痛に耐え苦労して出産するからこそ素晴らしい、だから痛みがない帝王切開は苦労から逃げている。』

このような自然分娩主義的な考えです。昔は確かに出産が大変だったと思います。医療が発展していない中でのお産は命がけ。ヒーヒー言いながらやっとの思いで手に取った我が子との面会はとても感動的です。

反対に、帝王切開には陣痛がない=痛みがないというイメージが強く「苦労していない」「楽なお産だ」という見解が独り歩きしているのです。

帝王切開はラクだという誤解…実際はどうなのか?

知って欲しいのは帝王切開も苦労の連続だという事。術中も痛い、術後はもっと痛いという事実です。

麻酔の痛み、傷の痛み、それに手術の副作用まで。帝王切開は経験したことのない痛みが長く続きます。

帝王切開は痛い!辛い出産方法である!

帝王切開も経腟分娩も体の負担は大きく苦労する事に違いはありません。しかし敢えて言うなら、リスクが高く痛みの回復に時間がかかる帝王切開は、出産後に苦労が多い傾向にあります。

また陣痛こそありませんが、手術中も出産後も激しい痛みに襲われます。決して楽な出産方法ではありません。

帝王切開の痛みの原因は様々です。

  • 手術前の麻酔注入時の痛み
  • 手術後の切開部分の痛み
  • 子宮収縮時の痛み
  • お産後何年も傷跡が痛む人も

手術前の麻酔は医師に体を押さえつけられて注入します。押さえないと体が勝手に動いてしまうほど痛いからです。背中には経験した事のない激痛が走ります。

麻酔が効けば切開時の痛みはありませんが、問題は麻酔が切れた後です。麻酔はジワジワと切れてきて、完全に切れた後には激しい痛みに襲われます。

お腹を切っているわけですから当たり前ですよね。歩くにも丸1日~2日待たないと難しい人もいます。

私も帝王切開で痛みに堪えながら「時代劇で腹を切られても立ち上がるシーンがよくあるけど、あれは絶対無理だ…」と思っていました。痛みを我慢して動こうとしても体が追いつかないからです。

術後の痛みは子宮収縮痛も原因です。帝王切開では収縮がゆっくりであるため痛みが長く続く傾向にあります。

そして退院後も苦労は続きます。家事をする時赤ちゃんを抱っこする時、腹筋に力が入らずに痛みが残り、仮に力を入れてしまうと傷跡が開いてしまうような心地さえします。考えただけでも鳥肌ものですよね。

出産後何年も経っているのに、雨の日になると傷跡がチクチク痛むという人もいます。

このように帝王切開の痛みは多くの要因が重なり、長い間痛みと苦労に耐えていかなければなりません。帝王切開は決して楽な出産ではないのです。

帝王切開は選ばざるを得ない

帝王切開になる理由は、普通分娩だと赤ちゃんまたは母親に命の危険があると判断された場合に限ります。日本では医学的適応がなければ帝王切開を選択する事はできません

自然分娩を希望しても、医師の判断で帝王切開にならざるを得ない状況になる場合がほとんどです。

帝王切開は出産であると同時に「手術」です。母体の負担は多大なもので副作用や大量出血のリスクもあります。しかし、胎児の命を守るためには最適な出産方法なのです。

ですから、帝王切開のリスクと命の危険を乗り切って無事に出産を終えたお母さんの功績は偉大と言わざるを得ません。産み方の違いで否定される根拠はどこにもないのです。

もし帝王切開を選択せざるを得ない時、帝王切開を選択できる時は堂々と帝王切開を選んでください。

世界の出産事情は?海外は帝王切開に肯定的

上記のように日本では少なからず帝王切開には否定的な部分がありますが、海外ではどうでしょうか。

海外の出産は、日本とは異なり自ら帝王切開を選ぶ事ができるの国もあり、さらには病院側も帝王切開を進める事が多いという現状もあります。日本とは全く逆の思考です。

そして、海外でも帝王切開は増えていてその数は日本以上。WHO(世界保健機構)では帝王切開の急増に注意喚起をするほど増加傾向にあります。

中国では60%以上、ブラジルの私営病院での出産は80%以上の妊婦さんが帝王切開という統計です。

ブラジルで帝王切開が多い理由

ブラジルでは陣痛の痛みを避ける目的の他、経腟分娩時の会陰切開を回避したいと言う理由があるのだそうです。

経腟分娩は出産後の性生活に影響を及ぼすという考えが強く、ほとんどの妊婦さんが帝王切開を望むのだとか。医学的には根拠のない迷信であるようですが、この考えは根強いみたいです。

また病院側も帝王切開を進める傾向があり、出産が短時間で終わるためスケジュールが組みやすい事が理由です。さらに、帝王切開のリスクに対する説明がほとんどない事が問題視されていて課題は山積み。日本では考えられない実情があります。

中国で帝王切開が多い理由

中国では独自の文化が影響し、占いで赤ちゃんの誕生日を決めることが多いらしいのです。そのため縁起のいい日に出産したいとのいう考えが主流で、スケジュール管理が容易な帝王切開が好まれるよう。

さらに中国の病院では、帝王切開は医療費が高く売上が伸びるという理由から医師自ら推奨する事が多いらしく経営優先の思考が強い傾向も。

妊婦さん側も無理に陣痛で苦しむ必要はないとの見解が強く、帝王切開には肯定的であるケースが多いようです。

アメリカでは帝王切開がステイタス

無痛分娩が主流のアメリカではセレブの間で帝王切開ブームらしくスタイルの維持が目的だったり、いきむ姿がかっこ悪いと言った理由で帝王切開希望の妊婦さんが増えていると言います。

また帝王切開の傷跡を消したり、出産直後にお腹をスレンダーにする整形手術もあるそう…。セレブはお金をかければ体型維持もすんなりできてしまうんですね。

一般の妊婦さんの間でも帝王切開を望む傾向が強く、一種のステイタスのような意味合いを持っているとも言われています。

このように、海外では「我慢が美学」の日本とは全く違う感覚がありますね。陣痛を経験してこそ1人前というようなイメージは微塵も感じられません。

偏見に不安があるママへのアドバイス

帝王切開に対する世間の偏見や評価が気になって出産が不安な妊婦さん、また帝王切開で出産したお母さんが偏見と戦う3つのアドバイスをご紹介します。

ママ友の出産自慢話に飲み込まれず自信を持つ

「陣痛痛くてさ~…」「生まれた時は感動だったよ~…」とママたちの苦労話や感動体験を自慢するムードになると、自然分娩を経験していないママは精神的に辛くなってしまう事もあります。

そこで考えてほしいのは、出産の苦労を乗り越え立派に戦ったという事実です。帝王切開の痛みや苦しみ、不安や恐怖と戦った母親は「素晴らしい」の一言です。

何よりもお産方法にこだわらず赤ちゃんを守り抜いた自分を褒めてあげるべきです。大事なのはお産方法ではなく赤ちゃんそのものですから。

身内に「楽だったね」と言われた時の伝え方

知り合いや身内に「楽なお産でよかったね」「簡単な出産で羨ましい」などと心無い一言を言われた時はなんと切り返したら良いか悩んでしまいますよね。

その時は、赤ちゃんを無事に出産した自分を褒めて自信を持ちましょう。

「帝王切開は決して楽ではありませんが、赤ちゃんの命を第一に考えた結果ですので良かったと思います」と伝えてみてはどうでしょうか。

母親にとって一番重要なのは、陣痛の痛みや経験ではなく「赤ちゃんの命」です。赤ちゃんを守るために帝王切開の痛みに耐えた自分を誇りに思って当然です。

帝王切開の偏見をゼロにする事はできないので心無い一言があるかもしれません。しかし、痛みと苦労を乗り切った自分に自信を持って堂々としていればいいと思います。

帝王切開は赤ちゃんにとってベストなお産だという事を心得る

帝王切開は赤ちゃんに負担が少ないお産方法です。帝王切開でお産をする大きな理由は「赤ちゃんを守るため」。

赤ちゃんを守るために出産を頑張ったママは、どんな形であれ素晴らしいのです。

そして大切なのは産み方ではなく、どう赤ちゃんを育てていくかです。産み方がどうだというよりも、子供をしっかり愛していくことが一番大切ですよね。

Q&A帝王切開を控えた妊婦さんのよくある質問

帝王切開には本当か嘘かも分からないような不安も多いですね。よく噂されている帝王切開の疑問を取り上げてみました。

Q.帝王切開は母乳が出ないって本当?
A.帝王切開で出産すると母乳が出てこないという事実はありません。

母乳は、出産時に胎盤が取り出される事で作り出されます。ですから、帝王切開でも胎盤は取り出されるので普通分娩と同じように母乳を作る機能は備わっています。

もし、母乳が出づらく困る事があるならそれは帝王切開が理由ではなく、ママの体質に関係している可能性があります。母乳外来に相談して解決していきましょう。

Q.帝王切開は母性がなくなるというのは本当?
A.帝王切開で母性がなくなるという事実は証明されていません。お産の苦しみを知らないと母親の愛情が育たないといった話はまったくの作り話に近いようです。
Q.帝王切開の子供は我慢ができないというのは本当?
A.帝王切開の子供は生まれてくる時に頑張っていないから忍耐力がないと言われる事もあるようですが、そのような事実はありません。

出産の仕方で性格が変わるという事実は証明されていません。子供はどんな形であれ命がそこにあるだけで素晴らしい事ですし、性格は生まれてから養われる事がほとんどです。

赤ちゃんがいるだけで幸せ。母親として自信を持とう

帝王切開をした母親にアドバイスをする事を目的として活動をしている、

帝王切開カウンセラーの細田恭子先生は「母親が一番大切にする事は産み方ではなく育て方」だと言っています。

産み方にこだわりを持つことは決して悪い事でありません。陣痛を乗り越え感動的に赤ちゃんを抱っこしたいとの思いもあるでしょう。

しかし、大切なのは「今」です。赤ちゃんはあっという間に大きくなって、赤ちゃんらしい泣き声も肌ざわりもすぐに変化していきます。その瞬間の赤ちゃんとの時間に集中するべき。

目の前に大切な赤ちゃんがいる、それだけで幸せな事。今を大事にして赤ちゃんとしっかり向き合いましょう。

大切なのは育て方。一瞬一瞬をかけがえのないものとして、健やかに時を重ねていきたいですね。

みんなのコメント
  • 玉麗さん

    日本も外国みたいに自然分娩可能な人に限り、自由に帝王切開を選べたらいいのにと思います。
    手術でも病気や怪我で切るわけじゃないし、人間の身体を司る場所、(脳・心臓・脊椎・動脈・肺・骨髄など)を切るわけじゃないのに。
    犯罪者に対する刑罰はすごく甘いのにこういう所は異常に厳しい国です。

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