妊婦の痔は便秘解消で予防!きれ痔やいぼ痔で苦しまない為の対策

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2017/02/16

妊娠中は痔になりやすく、辛い痛みに悩まされる人も多いです。さらに、お産でいきむときに肛門にかなりの負担がかかるため、産後に痔を悪化させてしまうことも。

妊産婦さんの約半数は、妊娠・出産をきっかけに痔を発症したことがあるといいます。「私は大丈夫」と思っている人でも出産までの間に経験してしまうかもしれません。

痔を予防するためには、便秘をしないことが大切です。では具体的にどのようなことに気をつけたらよいのでしょうか。痔の原因と、妊婦の痔の予防法について調べました。

「血流の悪化」と「便秘」・・・妊婦が痔になりやすい理由

「いぼ痔」や「切れ痔」は、肛門付近の血流が悪かったり、便秘や下痢の便によって肛門を刺激することで発生しやすくなります。

では、なぜ妊娠中は痔になりやすいのでしょうか。それは、妊娠中は特に「血流の悪化」と「便秘」を起こしやすいからなのです。

妊娠中に痔を発生させてしまう、2つの原因についてくわしくみていきましょう。

〔原因1:血流の悪化〕妊婦は身体が冷えて痔が治りにくい

妊娠中は大きくなった子宮に圧迫されて、下半身の血液が心臓に戻りにくくなります。すると、肛門あたりに血が溜まりやすくなり、痔ができやすくなるのです。

また、血液は体に熱を運ぶ役割をします。血の巡りが悪くなると、身体が冷えやすくなり痔の悪化につながります。

つまり、妊娠中は血液の流れが悪くなることにより、体の冷えと下半身のうっ血を引き起こすのです。うっ血が肛門にできたものが痔です。

子宮が大きくなってくると、下肢や骨盤部の血液が心臓に戻りにくくなります。その結果、とりわけ下肢にむくみ(浮腫)が生じることが多くなります。下肢や腟口周囲(外陰)に静脈瘤ができやすくなります。

体が冷えると、肛門周囲の血管が収縮して血液の循環が悪くなり、うっ血するので炎症が起こりやすくなります。

妊婦の血流悪化を起こす要因には、「子宮の膨張」「ストレス」「姿勢の変化」「運動不足」などがあげられます。

子宮の膨張
妊娠中期~妊娠後期になると、お腹の赤ちゃんの成長に合わせて、子宮もどんどん大きくなります。子宮のすぐ隣にある直腸や肛門は、子宮に圧迫されて血液の流れが滞ってしまいます。
ストレス
お腹の赤ちゃんの成長や産後の生活への不安など、悩み事が多くなる妊娠中。ストレスは、自律神経のバランスを乱して血管の収縮を起こすので、血の流れを悪くします。

また、ストレスは免疫力を低下させます。肛門付近でも細菌への抵抗力が下がり、痔を発生させやすくなります。

姿勢の変化
おなかが大きくなってくると、腰を反らせるような姿勢を取ることが多くなります。不自然な姿勢は骨盤に負担がかかります。すると、腰回りの筋肉の硬直状態が続き、血流の悪化につながります。
運動不足
適度な運動は、血の巡りを良くします。妊娠中は、つわりやお腹の張りが気になって運動する時間が減ってしまいます。筋肉を動かさないと、血の循環が悪くなってしまいます。

〔原因2:便秘〕妊娠中は「弛緩性便秘」になりやすい

痔の発症につながる、もう一つの原因は「便秘」です。痔の発生を防いで健康的な肛門を保つためには、いいウンチを出すことが大切なのです。

固すぎる便も軟らかすぎる便も、肛門への負担が大きくなってしまいます。理想的な排便は、適度な固さで無理なく出せて、スッキリ感を感じられるような排便なのです。

また、残便感を感じるような排便は、便の腸内滞在時間を長くしてしまうため、便を固くさせてしまいます。

しかし、妊娠中は便秘になりやすく、いい排便を続けることが難しくなります。そのため、痔を患ってしまうことが多くなるのです。

妊娠中になりやすい便秘は、蠕動運動の低下による「弛緩性便秘」です。また、産後には育児が忙しくトイレに入るタイミングを失うために「直腸性便秘」になりやすくなります。

妊娠中はプロゲステロンの影 響で腸の働きが抑制されたり,増大する子宮により胃や腸を圧迫し大腸の蠕動運動が弱まったり,ストレスによる交感神経の緊張などから弛緩性便秘となりやすい.また,産後は育児に時間を取られ,便意を我慢したり生活習慣が乱れたりすることで排便反射の低下を招き直腸性便秘を引き起こす

では、妊娠中や産後になりやすい「弛緩性便秘」と「直腸性便秘」についてくわしくみてみましょう。

弛緩性便秘
私達が排便するとき、大腸は蠕動運動を起こして便を肛門まで運びます。蠕動運動は、大腸の一番奥(小腸との境目)から肛門へ向けて順番に動いて便を動かします。

妊娠中にこの蠕動運動を阻害するのが、「ホルモンバランスの変化」と「子宮による圧迫」です。

流産などを防ぐために分泌されるプロゲステロン(黄体ホルモン)は、子宮の収縮を抑えるのと同時に腸の蠕動運動を抑制してしまいます。

また、妊娠後期は大きく膨らんだ子宮が大腸を圧迫するため、うまく腸が動かなくなってしまいます。

黄体ホルモンは子宮の収縮を抑制して流産しにくくするけれど、消化管平滑筋の収縮も同時に抑制してしまうから弛緩性便秘になりやすいんだ

蠕動運動が起こらないと、大腸の中にどんどん便を溜めこんでいくことになります。大腸では便の水分が吸い取られるので、便が硬くなり排便しにくくなるのです。

その他にも、ストレス、つわりなどによる食生活の変化、水分不足、運動不足も、妊娠中の便秘の悪化につながります。

弛緩性便秘の改善には不溶性食物繊維をしっかり摂り、便のカサを増やして腸を刺激することが大切です。

直腸性便秘
直腸性便秘とは、肛門のすぐ上にある直腸まで便がきているのに、便意が起こらなくなってしまうタイプの便秘です。

直腸に便が到達するとセンサーが察知して、「ウンチがしたいよ」と脳に伝えます。しかし、何らかの理由で便意を我慢することが続くと、このセンサーが正常に働かなくなります。

その結果、大腸には便が溜まり、水分を吸い取られていきます。柔らかさを失った便を排出するのは困難なため、便秘の悪化につながります。

センサーが反応して「便意」があるにもかかわらず、すぐにトイレに行けないなどの事情があったりして排便をしないと、このセンサーからの信号がどこかのレベルで伝わりにくくなります。(中略)その結果が便秘として現れると考えられています。

特に産後の女性は、赤ちゃんのお世話にかかりっきりになります。便意を感じても、授乳やオムツ替えなどを優先してしまい、排便のタイミングを逃すことで直腸性便秘になりやすくなるのです。

直腸性便秘の場合は、トイレに行く習慣をつけることが大切です。便意がなくてもトイレでいきんでみると出る場合が。その繰り返しでセンサーが回復し、便秘症状の改善につながります。

痔の予防には便秘改善が重要!スッキリ排便のための対策4つ

痔を予防するためには、便秘や下痢のない、健康的な排便をすることが大切です。残便感が残らず、スッキリ排便することができると快適ですね。

とはいっても、ホルモンの影響などで便秘になりやすいのが妊娠期。さらに妊娠中は血液中の水分量を上げるために、腸で吸収される水分が増えます。

その結果、便が固くなりやすく、肛門に負担がかかっていぼ痔や切れ痔を起こしてしまいます。

便が硬くなりやすい妊娠中には、普段以上にお通じに気をつける必要があるのです。妊娠中に便秘をしないためには次の4つを心がけるとよいでしょう。

  • たっぷり水分を摂る
  • 食事内容に気をつける
  • 適度に運動する
  • 便意を我慢しない

それぞれ詳しく説明してきましょう。

こまめな水分補給を・・・カフェインレスなら安心

妊娠中は、ママの体内の血液量を普段の1.5倍にまで増やして、赤ちゃんを育てています。血液を増やすのには、沢山の水分が使われます。

血液量は妊娠すると50%増加します。(酸素を運ぶ)赤血球の数よりも、血液中の水分量が増えます。

当然、腸で吸収される水分の量も増えるため、便が硬くなりやすくなります。固い便は痔の大敵!肛門への負担が大きくなります。

妊娠中はこまめな水分補給をこころがけましょう。1日に2リットルの水分が摂れるように、気がついたときにコップに半分~1杯飲むとよいでしょう。

妊娠中の水分補給にはカフェインレスの飲み物が適しています。ルイボスティー、たんぽぽ、ごぼう茶、ハーブティー、黒豆茶なら、ノンカフェインで便秘解消に効果が期待できます。

食事内容に気をつける・・・食物繊維・乳酸菌・ビフィズス菌・オリーブオイル

妊娠初期はつわりなどの影響で食べられる食材が偏ってしまいます。つわりが便秘の引き金になってしまうことも。

無理をする必要はありませんが、症状が落ち着いてきたら、腸内環境を整えて便通を良くする食材を摂取するように心がけましょう。

食物繊維
食物繊維には「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」があります。不溶性:水溶性=2:1のバランスで摂取するのが理想的といえます。

不溶性食物繊維
水分を取り込んで膨らむ性質を持つ食物繊維。便のカサが増えるので、腸を刺激して蠕動運動を引き起こします。

便の動きが鈍くなっている弛緩性便秘には、不溶性食物繊維が有効です。さつまいも、舞茸、かぼちゃ、ココア、豆類などに多く含まれるので積極的に摂取しましょう。

水溶性食物繊維
水に溶けてドロドロになる性質をもつ食物繊維です。便を柔らかくして滑りを良くする作用があります。

妊娠中や直腸性便秘が原因で固くなりやすい便の柔らかさを保つことができます。わかめ、昆布、山芋、こんにゃく、バナナ、リンゴなどに多く含まれます。

どちらの食物繊維も、お鍋やスープ、お味噌汁など、水分と一緒に食べられるように工夫すると効果的です。

乳酸菌やビフィズス菌
人間の腸内には沢山の細菌が棲息しています。細菌の中にはよい働きをするもの(善玉菌)と悪い働きをするもの(悪玉菌)がいます。

腸内の善玉菌がしっかり働きけるような環境を整えてあげると、腸の動きが活発になり、便秘の解消につながります。

小腸の活性化には乳酸菌、大腸の環境改善にはビフィズス菌の摂取が有効です。胃酸や熱に弱いものが多いので、加熱せずに食事の一番最後に摂ると効果的です。

乳酸菌は、ヨーグルト、チーズ、漬け物、しょうゆ、みそ、キムチなどの発酵食品に含まれています。ビフィズス菌は「BB―〇〇」と書かれているヨーグルトに含まれています。

また、大豆を発酵させて作られた納豆には、乳酸菌を増やす納豆菌が豊富に含まれています。食物繊維も豊富な納豆を1日に1~2パック食べると腸内環境の改善に役立ちます。

オリゴ糖
大腸で活躍するビフィズス菌のエサになるのが、オリゴ糖です。オリゴ糖は胃や小腸で分解されないまま大腸に届きます。

大腸で頑張っているビフィズス菌にオリゴ糖を届けることで、ビフィズス菌が元気になり、良好な腸内環境を保つことになります。

オリゴ糖は、リンゴ、野菜、大豆製品、牛乳などに多く含まれていますが、食事だけで十分な量を摂るのが難しいため、サプリメントを活用するのもおすすめです。

オリーブオイル
ヨーロッパでは古くから「自然の下剤」として便秘予防にオリーブオイルが使われています。生のオリーブオイルは胃で消化されにくく、便を滑らかにする作用があります。

有効成分が豊富な良質なオリーブオイルを、生のまま朝食時に大さじ1杯摂取してみましょう。ヨーグルトやサラダにかけて食べるのがおすすめです。

適度な運動をする・・・お腹まわりの筋力強化は安産にもつながる

妊娠中は身体が重くなり、運動するのが億劫になりがちです。また、2人目妊娠時には上の子のお世話もあり、運動を取り入れる時間が作れないことも。

運動不足は筋力低下につながり、腸の蠕動運動に必要な腹筋の力が衰えてしまいます。また、排便時のいきむ力も弱くなってしまい、便秘の悪化につながります。

腹筋は自然分娩で赤ちゃんを押し出す力としても必要な筋肉です。お腹の周りの筋肉を適度に刺激し、スッキリ排便と安産を手に入れましょう。

妊娠中に腹筋を強化するには、妊婦さんでもできるマタニティエクササイズがおすすめです。専門家が監修しているサイトが参考になりそうです。

妊娠中の骨盤矯正・母子ともに元気に出産を迎える最善の方法

妊娠中の骨盤矯正・母子ともに元気に出産を迎える最善の方法

妊娠初期・中期・後期に分けたエクササイズ方法を紹介しているサイト。骨盤底筋やお腹まわりの筋力を強化し、母子ともに元気に出産を迎えるためのカラダづくりがわかります。

妊娠中の適度な運動は、体重管理にも役立ちます。特に妊娠中期以降、体重増加が気になる場合にも、マタニティエクササイズはおすすめです。

ただし、妊娠中の腹筋エクササイズは、妊娠に異常がなく、お医者様の許可がある場合におこないましょう。体調に注意し、無理をしないことも大切です。

便意を感じたら我慢しない・・・トイレタイムを習慣づけて

せっかく便意が起きているのに、タイミングを逃して我慢してしまうと、便意がおきるセンサーが鈍くなり直腸性便秘になってしまいます。

直腸にたまった便が排出されずにとどまると、どんどん水分が失われて固くなってしまい、後ろに続く便も出せなくなってしまいます。

便意に鈍くならないためにも、「トイレに行きたい」と感じたら我慢しないことが大切です。特に、産後は直腸性便秘になりやすいので、意識してトイレの時間を確保するようにしましょう。

直腸まで便が届いているのに、便意が起きていない場合には、便意がなくても決まった時間にトイレに行ってみることが有効です。

よく、便秘の治療法として、「毎日決まった時間にトイレに入る」ということが推奨されることがありますね。(中略)これは、そういう「直腸性便秘」の人には有効な対処法です。

トイレで数分いきんでみると、直腸にある便が出ることがあります。これを繰り返すことで排便のリズムが整い、便秘の解消につながるのです。

便秘対策以外にも!きれ痔・イボ痔の予防のための5つの対策

便秘対策以外にも、痔の予防としてできることはまだまだあります。妊婦は痔になりやすく、一度なってしまうと治りにくいものですから、やはり痔は防ぐことが大切です。

ここでは、切れ痔やいぼ痔を予防するためにできる5つの対策をご紹介します。日頃から気をつけていただき、痔の発症・悪化を防ぎましょう。

  1. ストレスや疲れをためない
  2. 長時間同じ姿勢を続けない
  3. 身体を冷やさない
  4. トイレでの過ごし方を見直す
  5. アルコール、刺激物はほどほどに

ストレスや疲れをためない・・・妊娠中は「シムス位」で横になろう

妊娠中はちょっとしたことが心配となり、ストレスや疲れが溜まりやすくなります。ストレスは体の免疫力を下げて、細菌による炎症を引き起こしやすくします。

肛門付近は便の中にいる細菌が沢山存在する場所です。細菌感染を防ぐには、疲れをためないように、睡眠をしっかりとることが大切です。

しかし、お腹が大きくなってくると、うつむきや仰向けで眠ることが辛くなり、睡眠時の体位に困ることがあります。

特に、仰向けで寝ると、身体の中心に通る太い血管が子宮によって圧迫され、血圧がさがって気分が悪くなったり、めまいを引き起こすことがあります。

妊娠中には「シムス位」で寝ると血行が良くなり、穏やかな眠りにつきやすくなります。血液の流れをよくすることは、痔の予防にも重要なことです。

体の中心には太い血管が通っていますので、仰向けになると大きくなってきた子宮に血管が圧迫されて気持ち悪くなったりすることがあります。(中略)妊婦さんにおすすめする寝る時の体位、「シムス位」です。シムスの体位をとることで、血液の循環がよくなり、リラックスすることができます。

シムス位のやり方
  1. 上半身はうつぶせになり、下半身は横向きにする
  2. 下半身の静脈を圧迫しないように、左側を下にする
  3. 左足は伸ばし、右足を曲げるようにする
  4. 右足のひざの下にクッションを当てるとラク

また、妊娠中のリラックスには、アロマや温かい飲み物なども効果的です。昼間に眠くなったときには無理をせず、シムス位で横になってお昼寝するようにしましょう。

長時間同じ姿勢を続けない・・・こまめに姿勢を変えて血流を良くしましょう

妊娠中に限らず、同じ姿勢を続けることは痔を発生させやすくします。座りっぱなしや立ちっぱなしは、血行を妨げて肛門付近のうっ血を招くことになります。

妊娠中は、下半身に血が溜まりやすくなるため、長時間同じ姿勢でいると具合が悪くなることもあります。

特に仕事をしている場合には姿勢を変えにくいもの。長時間のデスクワークや立ち仕事は、妊娠中の身体にかなりの負担がかかります。

職場からの理解が得られるか不安を感じるかとは思いますが、赤ちゃんとママの身体を守るためにも、こまめに姿勢を変えられる環境を整えられるとよいですね。

おうちで休めるときには、シムス位や足を高くして横になったり、妊娠中でもできるストレッチを取り入れて、血の巡りをよくするように心がけましょう。

身体を冷やさない・・・夏場の冷えに要注意

身体の冷えは血液の流れを悪くするため、痔の原因となります。冬に妊娠時期を迎えている妊婦さんは、冷えの解消法に取り組んでいると思いますが、夏場の妊婦さんも要注意です。

妊娠中は暑さを感じやすいものですが、暑いからといってエアコンの温度を下げたり、冷たいものを食べ過ぎると、血のめぐりが悪い下半身の冷えが悪化してしまいます。

下半身の冷えは、痔の発生と悪化につながります。季節にかかわらず、身体を冷さないよう、次のような生活をこころがけましょう。

  • お風呂に浸かるようにする・・・10~20分、38~40度のお湯につかりましょう
  • 服装に気をつける・・・靴下、腹巻などを取り入れて。締め付けない服装が大切。
  • 身体を温める食材を摂る・・・根菜類、豆類、海藻類、しょうが、ゴマなど。夏野菜は身体を冷やします。
  • 足のマッサージをする・・・足の指や足首を回す、足の裏を軽くたたく、足指の付け根を押すと効果的

妊娠中は、腹帯やガードルなどを使う人も多いと思いますが、締め付けがキツすぎるものは痔の悪化になりますので、注意しましょう。

トイレでの過ごし方を見直す・・・排便は短時間で!ウォシュレットは適切に使おう

痔を予防するためには、毎日何気なく続けているトイレでの過ごし方を見直すことも大切です。

短時間で済ませる、強くいきまない
トイレでいきむことは、肛門付近のうっ血を招きます。長時間いきんだり、強く踏ん張ったりすると、痔の発症や悪化につながります。

排便はできるだけ短時間で済ませた方がよいです。もしも、便意がないのにトイレに行く場合は、滞在時間を3分程度にしましょう。

また、便意がなくてもいきんで出せるのは、直腸性便秘の場合にかぎります。食物繊維や水分補給で便の形状を整え、蠕動運動がうまく起きれば、短時間で軽い力で出せるようになります。

トイレの温水洗浄機能(ウォシュレット)を使う
痔を予防し悪化を防ぐためには、お尻を清潔にすることが大切です。排便後に拭き残しがあったりすると、細菌が繁殖して炎症を起こしかねません。

特に切れ痔になってしまった場合、トイレットペーパーで拭くだけだと傷口を広げてしまう可能性があります。トイレの温水洗浄機能を適切に使って悪化を防ぎましょう。

ウォシュレットは使い方によっては痔を悪化させてしまう場合があります。使用する際は、次のことに気をつけましょう

  • 水圧はほどほどに・・・強すぎると肛門に負担がかかります
  • 長時間洗わない・・・やりすぎは粘膜を洗い流してしまいます
  • 温水を使いましょう・・・冷水は肛門を冷やします
  • 洗浄後は水分を拭き取る・・・蒸れは炎症の原因になります

ウォシュレットを使う時は、温水を使って、弱めの水圧で短時間で洗い流すようにしましょう。また、洗浄後にティッシュで押さえ、水分を残さないように気をつけてください。

胎児への影響も心配…アルコールや刺激物などは控えよう!

痔を防ぐには、血流が悪くなるアルコールや、便に混じって肛門を刺激するような香辛料が使われた食事を控えることも大切です。

アルコールは血液の流れを悪くし、肛門付近でのうっ血を引き起こしやすくするばかりでなく、下痢の原因にもなります。

深酒をすると血管が拡張し、血液量が増えます。肛門付近の血管は細いため、急に増えた血液量に対応できず、うっ血して痔を悪化・発症してしまうのです。また、アルコールは下痢の原因です。

さらに、妊娠中のアルコール摂取は、胎児性アルコール症候群の原因となります。おなかの赤ちゃんへ奇形や障害などの影響を与えてしまうため、妊娠中はお酒を控えましょう。

また、こしょう、からし、唐辛子などの香辛料は、体内で吸収されにくく便に残ってしまうので、排便時に肛門の痛み、炎症、出血を起こすことがあります。

キムチ、カレー、タバスコなどの大量使用は控え、辛い料理を食べるのも適量を守るようにしましょう。

さらに、塩分の多い料理は冷えを招いたり、体内の水分バランスが崩れて下痢を起こすことがあるので避けた方がよいでしょう。

痔になってしまったら、早めの治療を!

注意していても、痔になってしまうこともあります。痔になったとわかったら、早めに対処し、悪化させないようにしましょう。

ここでは、妊娠中の痔の治療や薬、応急処置についてご説明します。

痔の薬・・・妊娠中は自己判断での使用はやめて!4つの注意事項

もし、妊娠中に痔になってしまった場合は、恥ずかしがらずにきちんと治療をしましょう。産婦人科で相談すればお薬を出してもらえます。

もしも、かんとん痔核や血栓性外痔核で、ひどい痛みを感じている場合には、肛門科を受診したほうがよい場合もあります。

妊娠中の痔は悪化しやすく治りにくいので、初期のうちに治療をするのが重要です。

しかし、妊娠中は、痔の薬を自己判断で使用するのは危険です。お腹の赤ちゃんに万が一のことがないとも言い切れません。

市販の痔のお薬にも、「妊婦の場合は医師や薬剤師に相談すること」と注意書きに書かれています。妊娠中の薬の使用で特に気をつけたいのは次の4点です。

  • ステロイドは長期使用しない・・・副作用が強く出る場合も。使用前に必ず医者に相談を。
  • 市販薬は自己判断禁物・・・間違った症状に使えば悪化の可能性も。病院で症状にあった物を処方してもらいましょう。
  • 鎮痛剤も要注意・・・胎児や母胎への安全性が確認されておらず、妊娠中は避けた方がよいものもある。
  • 薬の使用に不安がある場合は漢方薬を・・・生薬配合の軟膏「紫雲膏」なら妊婦でも安心

特に、市販薬を自己判断で使うのはやめましょう。たとえば、ボラギノールAやプリザS、プリザエース、ジオナールには、ステロイドが含まれています。

ステロイド剤は、知らずに長期間使い続けると、皮膚が赤くただれたり、抵抗力が落ちて感染症にかかってしまう恐れがあります。

病院では、軟膏(塗り薬)・座薬・内服薬を処方されるのが一般的です。また、便通改善のためにマグミットが処方される場合もあります。

薬が処方された場合は、病院の先生にステロイドかどうか、使用方法・期間などをよく確認し、適切に使うようにしましょう。

イボ痔・切れ痔・・・「痛み」の応急処置と緩和法

いぼ痔や切れ痔を悪化させてしまうと、とても辛い痛みに悩まされることがあります。特にお尻に血栓(血豆)ができてしまうと、何も手につかないほど痛む場合も。

痔の痛みで苦しい場合は、まずは横になって身体を休めましょう。座りっぱなし、立ちっぱなしでは、血流が悪くなるので肛門への負担も増してしまいます。

横になったら、軽く膝を曲げて横向きに寝るとラクになりやすいです。全身の力を抜いて、リラックスするように心がけましょう。

また、患部を温めることも効果的です。入浴する時間があれば、半身浴をして温まるとよいでしょう。

他にも、「ぬるま湯を張った洗面器にお尻を当てる」「ホットタオルを患部にのせる」「カイロで温める」などもおすすめです。

また、いぼ痔は無理に押し込むべきではありません。お尻に違和感があるからといっても、内痔核か外痔核かで戻るかどうか違ってきます。

軽い内痔核なら排便後や入浴時に押し込むと入りやすいですが、外痔核は入らないイボです!間違えて押し込むと悪化してしまうので気をつけましょう。

妊婦がなりやすい「イボ痔」と「切れ痔」・・・症状と特徴

痔は肛門付近の病気のことであり、「いぼ痔」「切れ痔」「あな痔」の3種類に分けることができます。

このうち、特に、妊娠中になりやすいのは「いぼ痔」と「切れ痔」です。ここでは、この2つの痔の特徴について詳しく説明していきましょう。

〔イボ痔〕肛門付近の血流が悪くなってできる静脈瘤

いぼ痔とは、肛門付近の血流が悪くなり、静脈の血がうっ血してコブ(静脈瘤)ができる状態です。別名「痔核」とも言います。

特に、トイレで踏ん張る時間が長いと、肛門付近の血液の流れが悪くなって静脈瘤ができやすくなります。トイレに座っている時間は、痔を育てている時間になるのです。

便秘や下痢が直接おしりに負担をかけるのはもちろんですが、トイレに座っている時間は即!痔核に血液を送り込んでいる時間です(中略)一所懸命に痔核を育てている時間なのです。

また、いぼ痔は、発生する場所によって「内痔核」と「外痔核」の2つに分けることができます。

肛門の造りはとっても複雑です。内側にある腸は「粘膜」でできていますが、外側は「皮膚」でできています。この粘膜と皮膚の境目を「歯状線」といいます。

歯状線よりも内側、つまり粘膜側でできる静脈のコブを「内痔核」、外側の皮膚部分にできるものを「外痔核」といいます。

粘膜部分には知覚神経が通っていないので、内痔核は痛みを感じません。内痔核に気づくのは、多くの場合、肛門からの出血があったときです。

しかし、皮膚の部分にできる外痔核は、神経が通っているため痛みを感じます。内痔核との違いは、「痛みがあること」と「イボを押しても肛門の中へ戻らないこと」です。

さらに、ひどい痛みの場合には、「かんとん痔核」か「血栓性外痔核」が疑われます。

内痔核が急に悪化した状態を「かんとん痔核」といい、突発的にできた外痔核を「血栓性外痔核」といいます。

腫れて痛い場合に考えられる病気や原因
・小さないぼ痔:血栓性外痔核(けっせんせい-がいじかく)
・大きく、腫れたいぼ痔:嵌頓痔核 (かんとん-じかく)

それぞれのイボ痔の症状と特徴を一覧にしてみました。痔の症状で悩んでいる方は、どのタイプの痔に当てはまるか確認してみましょう。

いぼ痔の種類 症状
内痔核 出血、イボの突出(戻せば戻る)、痛みは感じない
かんとん痔核 内痔核が悪化したもの、少量の出血、激痛を感じる、
血栓が沢山できて腫れたイボが肛門から突出する(押しても戻らない)
外痔核 痛みを感じる、イボは押しても戻らない、
血栓性外痔核 スポーツなどで急に肛門の血流が悪くなったときにできる外痔核、
激痛あり、紫色の血豆ができる(戻らないイボ)

お尻に異物感があるからといって、誰もが同じ種類のイボ痔であるわけではありません。イボ痔の種類によって対処法が異なるので、どのいぼ痔なのかを知ることは大切なことです。

〔切れ痔〕便秘や下痢の便によってできた傷

切れ痔は、肛門の皮膚が裂けてしまう状態のことです。原因は、便によって肛門に傷がつくことがほとんどで「裂肛」とも呼ばれます。

便秘で固くなってしまった便を無理矢理出した時や、下痢状の便を強い勢いで排便した時などに、発症してしまいます。

切れ痔になると、まずはトイレットペーパーなどに付くわずかな出血で、気がつくでしょう。さらに、皮膚の部分にできる傷なので痛みを感じます。

最初のうちは軽い擦り傷程度の傷なので、痛みも翌日には治まります(急性裂肛)。しかし、何度も同じところを傷つけていると傷が治るヒマがなくなり、治りにくくなってしまいます(慢性裂肛)。

便が硬かったり、下痢をしたときに肛門がヒリヒリ痛くなるあれがまさに「急性裂肛」なんですね。(中略)治りきらないのにまたおしりに悪い便をしてしまうと、キズが慢性化し、治るヒマがないこの状態を「慢性裂肛」と言うのです。

切れ痔の予防と悪化を防ぐためには、肛門を傷つけないように、便通を改善することが大切なのです。

毎日の積み重ねが大切・・・妊娠中の痔の予防には便秘対策を!

妊娠中は血行不良や便秘を起こしやすく、いぼ痔や切れ痔に悩む妊婦さんは大勢いらっしゃいます。また、自然分娩の際に悪化してしまい、産後に苦しむ方もいます。

妊娠中は痔の予防を行いましょう。痔の予防には便秘を改善することが大切です。いいウンチをスッキリ出すことが、痔の予防になるからです。

妊婦がなりやすい弛緩性便秘には「不溶性食物繊維」の摂取が効果的です。また、善玉菌を取り入れ、水分補給、適度な運動などをしましょう。毎日続けることが重要です。

また、妊娠中に痔になってしまったら、恥ずかしがらずに病院での治療を受けてください。自己判断で市販薬を使うのは控えましょう。

妊婦のマイナートラブルの1つでもある「痔」。毎日の生活スタイルを見直し、予防と悪化防止につとめ、快適な妊娠ライフを送ってくださいね。

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