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子供の風邪に抗生物質は必要?抗生物質の正しい使い方ガイド

2015/03/09

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病気の際に処方される薬には様々なものがありますが、小児科等でよく処方されるのが抗生物質です。でも、抗生物質って何なのか、きちんと説明できる人はかなり少ないのでは?

「抗生物質を飲めば風邪が治る」「抗生物質は効き目が強い」なんて思い込んでいる人も多いようですが、実は、普通の風邪には抗生物質は効果がないんです。

抗生物質とは何なのか?

何に効果があるのか?を知らない人が多いと思いますので、簡単に抗生物質とは何かをご説明します。

カビや放線菌などの微生物によって作られ、他の微生物や生細胞の発育を阻害する有機物質。1941年、ペニシリンの治療効果が確認されて以来、数多くのものが発見され、医薬品などに用いられている。ストレプトマイシン・カナマイシン・テトラサイクリン・エリスロマイシンなど。抗菌性物質。抗生剤。

抗生物質の効果があるのは“細菌”の感染症

感染症にはウイルス性のものと細菌性のものがあります。抗生物質は「細菌性の感染症」を治療する薬であり、ウイルス性の感染症には効果がありません。

だから、ウイルスによる感染症は、抗生物質をいくら飲んでも効果がありません。一般的に風邪と言われる感染症は、その多くがウイルスによるものです。

ウイルスと細菌

では、ウイルスと細菌は一体何が違うのか、気になりますよね。

まず、細菌は一つの生物として定義されています。自分で増殖する能力を持つ単細胞生物で、バクテリアとも呼ばれるのが細菌です。

一方、ウイルスは宿主の細胞に入り込むことでしか増殖できず、また、細胞膜も存在しません。確固とした細胞がなく、生命体かどうかもしっかりと定義できてないのがウイルスの特徴です。

抗生物質は細菌細胞を攻撃する

抗生物質は、細菌の細胞を攻撃したり、細菌の細胞の特性に働きかけて死滅させたり、増殖を止めたりします。だから、細菌に由来する感染症の場合は、抗生物質を飲むことで劇的に症状が改善します。

しかし、ウイルスは細菌のように確固とした細胞を持っておらず、抗生物質は何の効果もありません。そのため、抗生物質ではウイルスは退治できないのです。

ウイルス感染症の特効薬

ウイルス感染症の特効薬となるのは「抗生物質」ではなく「抗ウイルス薬」と呼ばれるものです。これは、ウイルス自体に作用して増殖を止める、もしくは人間の免疫機能に作用してウイルスの増殖を阻むものです。

ただし、抗ウイルス薬については有効な効果を持ったものがまだまだ少ないのが現状です。

現在、抗ウイルス薬として確実な効果が期待できるのは、インフルエンザや水ぼうそうなど、一部の感染症のみ。多くのウイルス感染症については、特効薬がない状態です。

一般的な風邪の原因となるウイルスは多数あり、通常はこのウイルスを特定することはなく、また抗ウイルス薬もありません。そのため、ウイルス性の感染症の場合は、対症療法を取るのが基本なのです。

抗生物質の種類

話を抗生物質に戻します。抗生物質にも様々なタイプがありますので、その一部をご紹介します。

抗生物質が効く子供の細菌感染症

現在、抗生物質の種類は数十に上り、様々な細菌感染症の原因となる細菌に合わせて用いられています。

子供は細菌感染症にかかることが多く、小児科では抗生物質を処方される機会も多くなっています。下記のような診断をされた場合に抗生物質が処方される事があります。

  • 溶蓮菌感染症
  • 百日咳
  • マイコプラズマ肺炎
  • 急性中耳炎
  • 細菌性肺炎
  • 結核
  • 細菌による食中毒

抗生物質はどうやって選ぶ?

抗生物質には数十の種類があり、感染した細菌に合わせて適切なものを選ばなければなりません。

病院で処方される抗生物質には、ペニシリン系・マクロライド系・セフェム系など、様々な系統に別れており、それぞれの薬剤で効果のある細菌が異なっています。

溶蓮菌感染症の場合にはペニシリン系・マクロライド系・セフェム系のいずれか、マイコプラズマ肺炎の場合にはマクロライド系など、処方する抗生物質は異なります。

複数の系統の抗生物質で効果が認められている細菌性感染症の場合は、効果を見ながら処方を変えることがあります。この抗生物質の選択や処方する日数は医師が判断することになります。

風邪と抗生物質

ウイルス性の風邪には抗生物質は効果がありません。しかし、医師によって、あるいは症状によっては風邪と診断しても抗生物質を処方することがあります。

風邪なのに抗生物質を処方されることがある?

多くの場合、風邪の際の抗生物質の処方は、細菌感染症の予防を兼ねています。風邪などで体力・免疫力が落ちると抵抗力も落ち、細菌への感染リスクが高まるために予防として抗生物質を出すのです。

免疫力が低下した状態で細菌が体内に入り込むと、肺炎や髄膜炎、脳炎などの重篤な感染症をを引き起こすリスクがあるため、早めに抗生物質を処方して、二次感染を防ぎます。

また、症状によっては細菌性のものかウイルス性のものか判断しにくいことがあり、こうした場合にも念のために抗生物質を処方されることがあります。

細菌感染症は、劇症化することがあるため、医師は慎重になりがちです。ウイルスの場合は、対症療法で改善することがほとんどですが、細菌性の感染症は対症療法ではなかなか改善せず、症状がどんどん悪化してしまいます。

だから医師は細菌感染症については非常に慎重なのです。

抗生物質があれば安心?

抗生物質を処方するか否かは主に医師が判断しますが、親が抗生物質の処方を希望したために抗生物質を処方するというケースもあります。

ウイルス性の風邪とわかっていても抗生物質がないと何となく不安に感じたり、また抗生物質を処方されるだけで安心する親もまだかなり多く、医師がこの希望に応じてしまうのです。

抗生物質があると安心する気持ちはわかりますが、普通の風邪には抗生物質は効きません。これをきちんと理解せず、抗生物質に頼るのはちょっと危険です。

抗生物質が危険と言われるわけ

抗生物質の危険性

抗生物質は細菌性の感染症に対しては非常に効果が高い薬で、きちんと服用すれば劇的に症状が回復することも少なくありません。

ただし、服用法を間違えてしまうと大変危険な薬でもあります。

現在問題になっているのが「薬剤耐性菌」というものです。これは、抗生物質の間違った服用法によって、細菌が抗生物質に対して耐性をつけてしまったもの。この薬剤耐性菌には抗生物質が効きません。

間違った抗生物質の使用法

薬剤耐性菌は、中途半端な抗生物質の使用によって生まれると言われています。

  • 処方をされた抗生物質の服用を途中でやめてしまう
  • 処方された抗生物質の量が足りない
  • 長期間にわたり同じ抗生物質を使用する

こういったことで細菌が薬剤に慣れ、耐性を得てしまうとされています。抗生物質が中途半端で細菌が叩ききれずに体内に残ってしまったり、効果が弱過ぎると、感染症を治療するはずの抗生物質がかえって危険なものになってしまいます。

常在菌と抗生物質

抗生物質の使用に関して、もう一つ気を付けておかなければならないのが「常在菌」と呼ばれる細菌です。常在菌は人間の体内に棲息する細菌で、わたしたちの生活を助けてくれるもの。善玉菌というとわかりやすいですね。

抗生物質は病気の原因となる細菌を攻撃することを目的として服用しますが、この抗生物質は常在菌を攻撃するケースもあります。そうなると善玉菌が減ってしまいます。そのため、抗生物質の副作用として、下痢・軟便等が挙げられます。

この善玉菌の減少は一時的なものであればさほど問題はありません。有害な静菌が死滅し、抗生物質の服用が終われば常在菌のバランスも自然に回復するからです。

ただし、抗生物質を何度も繰り返し使用したり、だらだら飲み続けたりすると慢性的に常在菌の数が少なくなり、体内のバランスが崩れてしまいます。こうなると感染症にかかりやすくなったり、感染症が治りにくくなったりするのです。

抗生物質の正しい飲み方

普通の薬とは違って抗生物質は少し飲み方に注意する必要があります。ここではその理由を探っていきます。

抗生物質は必ず飲みきる

中途半端に飲むのを中止すると原因菌を抑えることができず残ってしまい、お薬に対して抵抗性のある耐性菌ができてしまう可能性があります。医師の指示を守りしっかり飲み切りましょう。

抗生物質が処方された場合には、処方されたものを必ず飲みきるのが鉄則です。症状が回復した際に、もういいかなと自己判断で服用を中止するのは危険。細菌が死滅しきってしない可能性があり、耐性菌等の発生の原因となってしまいます。

また、以前処方された抗生物質を自己判断で使用するのも危険なので絶対に止めましょう。万一抗生物質が残っている場合には、今すぐ処分した方が安全。

抗生物質が必要な感染症は、その都度診察を受け、必要な抗生物質をきちんと処方してもらいましょう。

服用時間・回数を守る

抗生物質を子供に飲ませる際には、1日の服用回数と服用する時間を守ることが大事です。1日3回毎食後、1日2回朝夕など抗生物質によって服用回数や時間が異なるので、必ず確認しておきましょう。

抗生物質は飲んでしばらくすると汗やおしっこなどと共に体外に排出されてしまいます。そのため、定期的に服用しなければ効果を得ることができず、体内の細菌を死滅させることができません。

服用回数や時間を守らないとなかなか治らなかったり、ぶり返してしまうことがあるので注意しておきましょう。

服用後の様子を観察する

抗生物質は服用後の様子を見ることが大事です。抗生物質は病気の原因となっている細菌に直接作用するため、比較的早く症状が回復するのが特徴です。

正しく服用しているのに症状が一向に改善しない、という場合には抗生物質を変えなければならないことがあります。処方された抗生物質を飲みきっても症状が改善しない場合や、医師に指示された期間を過ぎても回復しない場合にはもう一度受診しましょう。

アレルギー反応が出ることがある

抗生物質に反応してアレルギーが出るケースがあります。そのため、抗生物質を服用した際には発疹や赤みなどに注意しておきましょう。多くの場合は、服用を中止すれば発疹等は治まります。小児科等で相談してみましょう。

ただ、稀に重度のアレルギーを引き起こすことがあるので、強い発疹や呼吸困難などが見られる場合にはすぐに小児科または救急を受診しましょう。

抗生物質を子供に飲ませるには

抗生物質は、苦みや甘みが極端に強く、飲みにくいものが多いのが難点です。きちんと飲まないといけない薬ですが、子供が嫌がってなかなか飲んでくれないということもあります。

抗生物質は飲みにくい

このくせの強い抗生物質を飲ませるためには、ちょっとした心がけが必要なんです。

まず、抗生物質は原則としてオレンジジュース、りんごジュース、スポーツドリンク、ヨーグルトなど酸味があるものと一緒にとってはいけません。これは抗生物質の一部は酸味と一緒の摂ると苦みが極端に強くなるため。

だから、抗生物質を飲むときは極力ジュースを避けます。

牛乳と一緒に摂るのは△。牛乳と一緒に薬を飲むと吸収が少しですが妨げられることがありますので注意が必要です。

はちみつと一緒にとるのが効果的ですが、1歳未満の子はボツリヌス菌中毒の可能性があるので、はちみつは厳禁。

また、熱いものと一緒に飲むのも効果が薄れてしまう可能性があるので×。

さらに、ご飯やミルクなど主食となるものや主菜となるおかずに混ぜるのもダメ。食事の味が変わり、食事を食べなくなったり、食欲がないため全部食べきれず、薬が必要量摂取できない可能性があります。

抗生物質はそのまま飲ませるのが一番

抗生物質はそのまま飲ませるのが一番安全で効果が得やすくなります。抗生物質とたっぷりの水というのが基本中の基本。

どうしても飲めない場合は、抗生物質を水薬(シロップ)に変えてもらうなど、医師に相談してみましょう。一部の抗生物質はシロップ状のものもあります。

粉状の抗生物質を水に溶いて飲ませることもできますが、抗生物質はそのまま水に溶くと苦みや甘みが極端に強くなるものがあり、かえって飲みにくくなってしまうことがあるので要注意。

子供に抗生物質を飲ませる秘密兵器

どうしても抗生物質を飲んでくれない、そんな時に強い味方になるのが薬を服用するためのゼリー剤。これに粉薬を混ぜれば子供も苦手な薬が飲みやすくなります。

普通のゼリーでも代用できるような気がしますが、専用のゼリーの方が安心。抗生物質の効果を邪魔することなく、また薬独特の味や苦みも上手く抑えられるように計算されて作られています。

薬局等で販売されているので、薬が苦手という場合にはぜひ使ってみましょう。ママのストレスもかなり軽減されるはずです。

薬剤師や医師にも相談して

子供が抗生物質をうまく飲めない時は、医師や薬剤師に相談してみましょう。医師に相談すればより飲みやすい形状に薬に変更してくれるかもしれませんし、薬剤師からは飲みやすくする方法を聞くことができます。

子供が癖の強い抗生物質をうまく飲めないのは当然のこと。気軽に相談して大丈夫です。抗生物質が必要な病気なのに、それが飲めないとなる方がよほど大変なことなので、飲めない時は飲めないと伝えてくださいね。

みんなのコメント
  • ロミロミさん

    1歳くらいのまだ甘いものを与えたくない子にクラリスを与えたいとき、与えやすいやり方はありますか?

  • 無記名さんさん

    抗生物質入れなきゃ風邪は治りませんよ。

    • 無記名さんさん

      そういう間違った知識が多剤耐性菌を生み出すのです。
      細菌とウィルスの違いからちゃんと勉強して下さい。
      ウィルス性の風邪に抗生剤は効きません。
      インフルエンザ等の一部のウィルスを除いては効く薬がないので、身体を休めて自らの免疫で治癒させるしかありません。
      市販の風邪薬はあくまで対処療法です。場合によってはそれも治癒を遅らせることもあるのですよ。

      • 無記名さんさん

        対処療法では無く、対症療法ですよ。

  • ききらんさん

    抗生剤を出さない医者が増えています。何故ですか?
    子供が咽頭炎だと言われたのに抗生剤がでませんでした、
    ひどくなって咳ぐ続いています

  • 無記名さんさん

    炎症に対して抗生物質を飲んでも改善しません。改善が見られないのであれば、薬との相性が悪いのかもしれないので、病院へ連絡しましょう。

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