子供も発症する「もやもや病」の症状…手足の脱力や痺れに要注意

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2017/05/13

脳の血管の病気「もやもや病」をご存知でしょうか。芸能人がこの病気で闘病したことがきっかけで一般的にも知られるようになりました。

実は子供にも珍しくない病気で、治療が遅れると命の危険にさらされることもある怖い病気なんです。

子どもは大人と症状が違いますので、知っておくと早期発見につながります。どんな行動がきっかけで発病するのか、またどんな症状でどんな治療が必要なのかお伝えします。

子供にも発症しやすい脳の病気「もやもや病」

芸能人が発症し有名になった脳の病気「もやもや病」。病名が随分変わっていて一度聞けば忘れられないインパクトがあります。

一体どこの何がどの様に「もやもや」しているのか当時随分話題にもなった病気です。脳の血管がもやもやした状態に見えることからこんな名前がついたようです。

この「もやもや病」は日本人を含めアジア系の民族に多く見られる病気で、「ウィリス動脈輪閉塞症」とも言います。

小児慢性特定疾病情報センターによると、多因子遺伝(複数の遺伝子と環境因子が合わさって病気が起こる状態)が関係しているとも言われていますが、家族内発生率の高い原因不明の進行性の脳血管閉塞症です。

もう少し詳しく説明しますと、健康な場合は、血液が心臓、首を通り脳の中の太い動脈(内頚動脈)から脳に栄養がスムーズに送り込まれるのですが、もやもや病は、その動脈の通り道が狭くなり血流不足に陥ります。

その血流を補おうとして、こまかな細い血管がもやもやっと煙のような感じに発達するのです。画像に映し出される血管もまさに煙がくすぶっているように移ります。

もやもや病の発症は10万人あたり6~10人程ですが、5歳前後の子供に多く発症することから早期発見・早期治療が大切になってきます。(神戸新聞を参照しました)

原因もはっきりせず、子供の発症率が高い脳の病気と聞くととても心配になりますね。どんな病気なのか知っておくと早期発見につながります。

朝の頭痛や手足がしびれ力が入らない場合は要注意!

小児の症状は、朝方に嘔吐やズキンズキンといった頭痛を訴えたり、意識が朦朧としたり、手足が脱力したりします。他にも感覚異常や失語、痙攣なども生じます。

朝、頭が痛いと言っても、睡眠を取ったら治ったり、午後になると痛みが治まったりするので、ただのわがまま、仮病と誤解されることも多いようです。

乳幼児の発症は少なめですが、泣くばかりで判断が遅れ気味になります。そのため治療が遅くなり予後も悪く、麻痺が残ったり知能障害に至ったりすることがあります。

最近は自覚症状が無くて頭の怪我の治療などで、偶然病気を発見されることが増えているようです。また定期的な検診時には「もやもや病」も疑う必要があるようです。

もやもや病の発症例の中でも子供に一番多い一過性脱力発作

もやもや病の症状は人それぞれで、脳血管が詰まって、さらにもやもや血管が出来てくる病気ですが、詰まるスピードがそれぞれなんです。早い患者さんで1~2年、ゆっくりな場合は10数年かかります。

もやもや病は、厚生労働省に特定疾患として認定されています。(難病指定となり医療助成制度が利用できます)その特定疾患では6種類に分けられています。

  1. 出血型
  2. てんかん型
  3. 脳梗塞型
  4. 一過性脳虚血発作型(一過性脱力発作型)
  5. 無症状型
  6. その他
この6つの中でも子供に一番多い症状が4番の一過性脳虚血発作型です。一過性脱力発作とも言うように、急に手足の力が抜け力が入らない状態になります。ですが、すぐ回復することから初期は見極めが難しいようです。

初期は数分で治りますが、何回も同じような発作を起こしているうちに脳梗塞を起こします。大人にはよく聞く病名ですが、10歳以下の子供にも発症するんですね。

大人に多い出血型は突然意識障害を起こす

出血型は成人に多く、既に弱ってもろくなった血管が破れて出血するものです。もやもや血管内の動脈瘤が原因で出血することもあります。

また作業中など普段の生活の中で突然意識障害を起こして、救急車で運ばれるというケースがほとんどのようです。初回発作から出血するのが特徴です。

てんかん型は痙攣発作を伴う

てんかん型は手足をガクガク震わせたり、失神したりするいわゆる痙攣発作を伴う発作で、それだけではもやもや病と分からず、痙攣の原因を検査していてもやもや病と診断されることがあります。

何度も繰り返すてんかんの診断のための検査は、脳波検査、MRI検査、CT検査、血液検査をします。この時もやもや病も簡単にMRI検査で発見することができます。

また、もやもや病以前に脳梗塞が起こっていしまっている人に多いのも特徴です。

脳梗塞型は後遺症が残るので要注意

脳梗塞型は初めての発作でも片方の半身麻痺や言語障害といった後遺症が出ます。一度も脱力発作なしで脳梗塞を引き起こすため察知することが難しい症状です。

2回目の発作も同じように脳梗塞を起こすので、後遺症を残す可能性が高くなります。脳ドッグなどで診察を受けて事前に兆候を見つけるよう心がけないといけません。

もやもや病の代表的症状、子供に多い一過性脱力発作型

一過性脱力発作型は一番多い症状で子供に多く見られます。子供が泣いたりハーモニカを吹いたりした状態で手足の力が抜けてしまいます。

初めの何回かはすぐ治ることから「なんだったのかな?」とあまり気にせず済ませてしまいがちです。

何度も繰り返しているうちに、先にお伝えした脳梗塞型のように後遺症の残る症状が出てしまいます。この脱力発作型は脳梗塞の前触れと捉えてください。

【もやもや病の疑いがある時は、これらの行為を出来るだけ避けましょう 】

  • ハーモニカ・ピアニカ・笛の演奏
  • 風車を吹く
  • ストローの使用
  • 音楽会や運動会での大声
  • マラソンや水泳
  • 熱い食べ物をフーフーする

息を深く吐いたり吸ったりすることで脳が血流不足を起こします。それはきっかけでもやもや血管が発達します。徐々に進行する病気ですから早期発見・早期治療が効果的です。

症状が自覚できないまま、もやもや病が進行する無症状型

本人も家族も症状に気づかないまま、たまたま頭の怪我などで検査を受けたらもやもや血管が見つかるという場合です。

大人になってから脳ドッグを受けてみたところ、もやもや病と診断されたなど、運良く発見されたため治療に取り組めたという人もいるようです。

血管が詰まって多発性脳梗塞となると、半身麻痺とも言う片麻痺や言語障害、知能障害などの後遺症が残り、リハビリも大変なものです。

他にも診断が難しいと言われる高次脳機能障害を残す人もあり、思うように字がかけなかったり、計算もできなくなったり、洋服を自分で着られなくなったりする後遺症が出ます。

このようなつらい症状を出さないためにも、怪しいなと思ったらMRI検査を早めに受け、脳血管の異常のあるなしを確認しておきたいですね。

進行していく病気ですから状態を見ながら専門の先生に、薬物治療や手術などの外科的治療の診断を仰ぐことをお勧めします。

もやもや病の治療方針は大きく3つ

もやもや病は脳の病気ですから外科的手術となると、とても怖く感じますね。でも薬で治療することもありますので安心してください。詳しい治療法について見ていきましょう。

【もやもや病の治療方法】

  • 基礎治療(生活面で気をつけること)
  • 内科治療(薬による治療)
  • 外科治療(血行再建術・バイパス術)

基礎治療は発作を起こすような原因を作らないこと

基礎治療というのは生活上控えたほうがいい注意するべき行動をちゃんと避けることです。

子供さんの場合は、進行を抑えるために幼稚園や学校の先生などに病状を知らせ、授業中などにも注意してもらうようお願いしましょう。

  • 誘発行為である、吹奏楽器の演奏、体育でのマラソン水泳、応援・声援を控えさせる
  • 短時間(数十秒・数分)の脱力状態を見逃さないよう気をつける
  • 発作が出たら必ず保護者に連絡する
  • 嘔吐頭痛がある場合は保健室で昼寝をさせる
  • 意識障害・ひどい発作が出たとき搬送する病院を伝えておく
  • 知能障害が出ていて計算が遅い・集中力の欠如などがあれば、様子を理解し対処してもらう
  • 慢性の症状であれば、手足の痺れでなく一過性の視力の低下や視野が狭くなったりすることもある
  • 痙攣発作は疲れていたり寝不足でも起こりやすいので、疲れがたまらないよう周りが注意する

症状を常々観察すること、またそれらを書きまとめて主治医に伝えることも進行のリスクを避けるいい方法だと思います。

内科治療では血液をサラサラに

一過性虚血発作型や脳梗塞型は血をサラサラにする作用のある薬を飲みます。血管がつまらないよう管理するわけですが、症状が軽い場合に限られます。

メリットとしては、血栓を予防できること。脳循環が改善できること。治療費が安価であることです。

デメリットは、進行が早い例や重症例には効果がないこと。もやもや血管には作用しないこと。まれに薬の副作用が出ることです。

急速に症状が進行したりする場合は、早期に脳血管のバイパス手術を行うなどの外科治療が必要になりますので油断は禁物です。

外科治療(血行再建術・バイパス術)で脳血流を増やす

外科的治療となると入院して開頭手術となります。脳内の少なくなっている血量を増やすために血行再建術を施します。

内科治療に比べて劇的に症状が改善する反面、脳梗塞や髄膜炎等の合併症が発症する危険も挙げられています。

お子さんが頻繁に痙攣発作を起こしているようでしたら、脳梗塞を起こす前に外科治療を施す可能性が高いと言えるでしょう。脳神経外科の医師に詳しい話を聞いてから手術治療のタイミングを計りましょう。

メリットとしては、側副血行路が広範囲に形成できること、症状が劇的に改善すること、脳梗塞を予防すること、もやもや血管にかかる負荷を軽くできることが挙げられます。

デメリットは、合併症の危険があること、有効な時期が限られること、入院する必要があること、髪の毛を剃らなければいけないことです。

合併症が気になるかもしれませんが、バイパス手術を受けた子供の8割以上が通常の社会生活を送れます。残念ながら診断が遅れ、脳梗塞が起きてから手術を受けた2割弱の子供は普通学級への就学が難しくなったりしています。

ほんのわずかな合併症の心配よりも、脳梗塞を起こす前にバイパス治療を受ける方が子供の将来のためになるように思います。

親族に脳疾患経験者がいれば遺伝的にも要注意!

もやもや病のはっきりした原因は掴めていないようですが、親族にもし、もやもや病の人がいれば遺伝的に誘発要素があるかもしれないということが分かってきていると、国立研究開発法人国立循環器病研究センターにも載っています。

家族だけでなく親類の情報も大切ですね。日本人やアジア系民族にこの病気が多かったりするのも遺伝性の問題かもしれませんね。

家系に脳疾患の人がいるなら、親も定期的に脳ドッグなどで検査を受けるほうが安心です。子供は日頃の様子を細やかに見ていれば早く発見できそうなので注意しておきましょう。

子供の脳の病気は後遺症を残さないよう迅速な処置を!

もしお子さんが脳梗塞になってしまったら、もやもや病から脳梗塞を起こしてしまった確率が高いかもしれません。

子供が万が一そんな重い病気になって入院手術を行うとなったら正直気が狂いそうですが、大人と子供の大きな違いも知っておいてください。

大人の脳梗塞は麻痺が残ったりして予後が芳しくありませんが、子供の場合は成長真っ盛りですから梗塞を起こして損傷した神経があっても、新しい神経回路を作って補う力が備わっています。

回復力が強いため、麻痺も治りやすく予後がいいのです。大人の脳疾患による麻痺のようにはなりにくいということですから見通しは明るいのです。

もやもや病は大人の病気ではなく、子供がなりやすい病気だということを理解し、初期症状を甘く見過ごさないことがなにより一番大事なことだと知っておきましょう。

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