母子の命に関わることも!妊娠中に気をつけたい感染症と予防策

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2017/04/07

妊娠中は赤ちゃんへ優先的に栄養分や酸素が送り届けられるため、母体は栄養不足になって病気に対する免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなります。

妊娠中に感染症にかかると、母体の症状が重くなったりお腹の赤ちゃんに影響が出ることもあるので、まずは予防が大事です。

そこで特に妊娠中に注意したい感染症や感染経路、更に予防策を紹介していきます。


妊婦がかかると赤ちゃんへの影響が心配される病気

妊娠中は体の抵抗力が弱まることもあり、風邪などの感染症には特に注意が必要な時期です。たとえ風邪をひいても市販薬に頼ることは禁物です。

催奇形性(さいきけいせい)と言って、胎児に奇形が起こる危険が高まることがあるからです。

特に妊娠4週~12週までは、赤ちゃんの主要機関が形成される時期に当たるので、薬の服用にも感染症にも注意しなければなりません。

もしも風邪をひいて薬を服用したい場合は必ず産婦人科医に相談しましょう。妊婦にも比較的安心と言われている漢方薬だとしても同様です。

妊娠期間はおよそ10ヵ月なので、その間冬のインフルエンザの流行などもありますし、ずっと病気にならずに健康でいることは難しいものです。高熱が出たり重症化すると、何か悪影響があるのでは?と精神的にも負担になります。

どんな風邪にも注意しなければならないことは言うまでもありませんが、中でも風邪と似たような症状が出る感染症の中で、特にかかるとおなかの赤ちゃんへ様々な影響が出やすい病気があります。

まずは妊婦がかかると良くない影響がある感染症について紹介します。

1.「風疹(ふうしん)」胎児に影響が出る可能性がとても高い

風疹は三日ばしかとも呼ばれ、小さいころに予防接種を受けたり、実際にかかったりしたことのある方がほとんどだと思います。妊婦が感染した時のリスクが高いため、私の場合は感染経験の有無にかかわらず中学生の時に予防接種がありました。

注意しなければならないのは、「過去に予防接種を受けたり罹患したりしていても必ずしも十分な免疫力が持続しているとは限らない」という点です。妊婦にとって危険度が高い感染症のため、産婦人科では妊娠初期に必ず風疹の抗体検査があります。

ただし抗体検査で免疫が不十分なことが分かっても、もう妊娠していたら予防接種を受けることはできません。その場合は風疹に感染しないよう自分で対策をすることが最も重要になります。

最近は成人男性で風疹が流行することも多く、まさに夫がかかってしまうと妊婦にとってこれほど怖いことはありません。感染症対策に対する意識が高い夫婦の場合、赤ちゃんが欲しいと思った時点で妊娠前に病院へ予防接種を受けに行く方々もいます。

妊婦が風疹に感染した場合に胎児に与える影響

先天性風疹症候群や流産、早産、死産の可能性があります。「先天性風疹症候群」は胎盤を通して胎児が風疹ウイルスに感染して生じる疾患です。

主な症状は、眼、耳、心臓の疾患で、感染した妊娠時期によって障害の種類や重症度が異なります。

2.「水疱瘡(水ぼうそう)」大人になってかかると重症化しやすい

水疱瘡(水痘)は感染力が強くほとんどの方が幼少期にかかっているので、妊婦の95パーセント程度が十分な免疫を獲得していると言われています。

そのため妊娠中に水疱瘡に初感染することは少ないのですが、もしも感染した場合、妊婦は重症化しやすいという特徴があります。

特に妊娠後期に感染した場合「水痘肺炎」を患うことがあります。水痘肺炎は水疱瘡の発疹が出て一週間以内に、発熱や呼吸困難など通常の肺炎の症状が現れ、急速に呼吸障害が進みます。

妊娠中にこの状態になり未治療の場合は、妊婦の死亡率が36~40パーセントと報告されています。

水疱瘡にかかったことがある人は皆、水痘ウイルスを保菌しています。抵抗力が弱った時などにこのウイルスが悪さをして「帯状疱疹」を引き起こすこともあります。

帯状疱疹は水痘ウイルスの「初感染」にはならないため、妊婦がかかっても母子感染を起こすことはないと言われていますが、帯状疱疹の発疹が分娩後にも残り、それに新生児が接触することによって水疱瘡になることがあるので注意が必要です。

妊婦が水疱瘡に感染した場合に胎児に与える影響

妊娠中に水疱瘡に初感染した場合、胎児には「先天性水痘症候群」、「乳児期帯状疱疹」、「新生児水痘」を発症することがあります。

先天性水痘症候群では赤ちゃんの皮膚のひきつりや、目、神経の異常などの影響があります。

3.「りんご病」感染していることに気づかないことも

伝染性紅斑(でんせんせいこうはん)は通称「りんご病」とも呼ばれ、頬に蝶の羽のような形の紅斑が出るのが特徴です。そのほっぺの様子がりんごのように見えることからりんご病と呼ばれています。

りんご病は子供がかかることがとても多く、また症状も微熱などそれほど重くないので大人はあまり警戒せずに過ごしていることがほとんどです。

けれども大人でも免疫を持っていなければ当然感染しますし、特に妊婦はトラブルにつながる恐れがあるので注意しておきたい病気です。

大人がりんご病に感染した場合は頬の紅斑は出ないことが多く、ほとんどは微熱程度で済みます。けれども重症化する場合もあり、その時は紅斑や関節の腫れ・痛み、頭痛などの重い症状が現れます。

妊婦が感染した場合の症状も同様ですが、同時におなかの赤ちゃんには深刻な影響が出ることがあります。

妊婦がりんご病に感染した場合に胎児に与える影響

りんご病を引き起こすヒト・パルボウイルスB19は、感染者の血液に影響を与えます。胎盤を通して胎児が感染すると胎児貧血を起こし、さらに全身がむくむ「胎児水腫」を招きます。胎児水腫は流産や死産につながります。

胎児が伝染性紅斑に罹患した場合の流産、死産の確率はおよそ7割という報告もあります。

大人がりんご病に感染する原因として、やはり感染した子どもからウイルスをもらう場合が多く、幼稚園や小学校に通う上の子の育児をしながら妊娠している方は特に注意が必要です。

4.「ジカ熱」赤ちゃんの小頭症のリスクが高まる

ジカ熱(ジカウイルス感染症)は近年中南米で流行している感染症です。ニュースなどで名前を聞いたことがある方も多いでしょう。

感染は主にジカウイルスを持った蚊(ネッタイシマカやヒトスジシマカ)に刺されることによって生じます。症状は微熱や頭痛、倦怠感などですが軽いことが多く、感染者の8割は症状が出ないと言われています。

感染リスクのある地域は、中央~南アメリカ、アジア太平洋地域、アフリカで、特に東南アジア地域での流行は日本との人の行き来が多いので注意が必要です。日本でもジカ熱の症例が複数確認されていて、すべて流行地域に渡航歴のある方のものでした。

ジカ熱には有効なワクチンはなく、唯一の予防方法は「蚊に刺されないようにする」ということだけです。

妊娠中も安定期に入ると旅行を楽しむ方もいると思いますが、旅行先でどんな感染症が流行っているのかを必ず確認しましょう。

ジカ熱の流行がある地域には、妊婦はもちろん、夫などの家族も渡航は控えましょう。世界保健機構(WHO)も2016年3月に「妊婦は流行地域への渡航をすべきではない」と勧告しています。

また外務省の海外安全ホームページ(MOFA外務省 海外安全ホームページ)でも、「流行国への渡航を妊婦は極力控えるように」という趣旨の情報がその都度更新されています。気になる方は確認することをお勧めします。

妊婦がジカ熱に感染した場合に胎児に与える影響

妊婦がジカ熱に感染すると、お腹の赤ちゃんが小頭症などの先天性障害を起こすと言われています。小頭症の症状は、頭囲が小さく、脳の損傷の程度に応じて知能発育遅延やけいれん発作などが見られます。

5.その他リスクのある感染症

上記4つの感染症以外でも気を付けなければならない感染症があります。

サイトメガロウイルス

ヘルペスウイルスの一種で、誰でも知らないうちに感染している場合が多いウイルスです。成人の場合は何も症状が出ないので、気づかない場合がほとんどですが、血液検査で感染の有無がわかり、更に抗体があれば免疫機能が作用します。

抗体がない状態で妊娠中に感染すると、流産や死産となる可能性が高くなります。また出生後に聴覚系の神経に障害が出る場合もあります。

風邪に似た軽い症状しか出ないので、気づきにくいのが難点です。

トキソプラズマ

猫や犬などの動物の体に寄生する、トキソプラズマ原虫の接触感染が主な原因となります。妊娠中に感染すると、胎内感染により確率は低いですが、流産早産を引き起こしたり、胎児の脳に障害を残す場合もあります。

リステリア症

ナチュラルチーズや生ハム、生肉や生魚、スモークサーモンなど未加熱もしくは低温加熱で、しっかり殺菌処理されていな食品に含まれるリステリア菌から、食べ物を通じて感染します。

腸から血液に菌が流れ、胎内感染すると胎児が脳や髄膜などに炎症を起こします。流産や死産となる場合もあります。

性器ヘルペス

単純ヘルペスウイルスによる性交渉感染や接触感染などが原因で、発症すると性器に水ぶくれができ、皮膚がただれたり、太ももが腫れる、排尿時に痛みを感じるなどの症状が出ます。

主に分娩時に胎児が通る膣付近にウイルスがあると、産道感染しやすくなります。胎児が発症すると、肺や脳などに障害が残る可能性もあるため、 あらかじめ母体感染がわかっている場合は帝王切開での出産の方が安全です。

カンジダ膣炎

カビの種類である真菌による性行為感染が原因で、感染しても症状が出ないこともありますが、免疫力が低下すると菌が繁殖して、白っぽいチーズのようないおりものや陰部の強いかゆみ、炎症などが症状として出ます。

出産時までに治らないと、産道感染するので帝王切開での出産となる場合もあり、胎児に感染すると、赤ちゃんの口の中に白っぽいカビが発生する鵞口瘡になることもあります。

クラミジア感染症

クラミジア・トラコマティス菌による性行為感染が原因で、感染するとにおいのきついおりものが大量に出たり、腹痛や排尿時の痛みなどが症状として出ますが、無症状の場合もあります。

妊娠中に感染すると、胎内感染により流産や早産を引き起こしたり、胎児に肺炎や結膜炎などをもたらす場合もあります。

トリコモナス膣炎

トリコモナス原虫による性行為感染が原因で、泡のようにぶつぶつで、黄色もしくは緑っぽいおりものが出たり、陰部の強いかゆみや排尿痛などが症状として出ます。

B群溶血性連鎖球菌

誰でも膣内などにいる一般的な菌ですが、胎内感染すると胎児を包んでいる卵膜や破れて破水したり、早産になる可能性が高まります。

出産時に産道感染すると、脳炎や髄膜炎などを引き起こすこともあります。

感染症にかからないために普段からしておきたい予防策

感染症は自分や周りの人が気をつけていれば、予防することもできます。日常生活での予防策を取り入れましょう。

まずは感染経路を知っておこう!

妊娠中に細菌やウイルスなどの病原菌に感染すると、母体にも症状が出ます。

しかし、母体から胎盤を通じて、もしくは膣や子宮頸部などから赤ちゃんに病原菌が感染すると、赤ちゃんの命に関わる場合もあるので注意が必要です。
  • 空気中の病原菌を妊婦さん自身が鼻や口から吸い込む空気感染
  • 病気の人のくしゃみや咳などが口や鼻から入る飛沫感染
  • そして病気の人が触った箇所に触れることによりうつる接触感染

これらが一般的です。

他にも、血液感染や性行為による感染などもあります。また、母体の膣などにウイルスが付着していると、分娩時に赤ちゃんが通る際にウイルスが体内に入り込む産道感染が起こることもあります。

人ごみは避ける

特に冬の寒い時期は、インフルエンザなどが流行しやすいので、ショッピングモールや映画館など人がたくさん集まる場所への外出は控えましょう。

マスクの着用

買い物や出勤、上の子の保育園などの送迎、検診など妊娠中でも外出する機会はあるでしょう。

そんな時は感染症が流行していない時期でも、飛沫感染を防ぐためにも必ずマスクを着用して 、口や鼻からウイルスを侵入させないようにしましょう。

手洗いとうがい

外出から帰宅した際は、手や喉の奥にウイルスが付着しているかもしれないので、すぐにうがいと手洗いをしっかり行いましょう。できればアルコール消毒もきっちりしておきましょう。

感染しやすい食品に注意

生肉や生魚、加熱していないチーズなどは病原菌や微生物が付着している可能性が高いので妊娠中は食べると危険です。

生肉や魚を調理する時は手袋をつけたり、他の食品を触る前にしっかり手を洗いましょう。そして肉や魚は十分に加熱したものを食べるようにしましょう。 また、生野菜を食べる時はしっかり水で洗いましょう。

動物の糞尿の始末に注意

猫や犬などのペットを飼っていると、糞尿にトキソプラズマ原虫などが含まれている可能性が高いのでトイレの始末は危険です。

できれば他の家族に代わってもらったり、手袋をはめて終わったら手洗い、消毒をするように心がけましょう。

食器などの共有をやめる

症状がなくても、知らないうちに感染症のウイルスが体内に入り込んでいる場合は、食器や歯ブラシなどを共有すると簡単に感染します。

ペットボトルのジュースの回し飲みも危険です。特に上に幼い兄弟がいる場合は、食べ残しが出ることもあるでしょうが、食べるのはやめましょう。

予防接種を受ける

風疹や水ぼうそうなどはワクチンを接種すれば、予防することができます。しかし妊娠中は胎児への影響を考えて、予防接種はできません。

もし血液検査で妊婦さん自身に抗体がないことがわかったら、旦那さんなど家族に予防接種を受けてもらいましょう。 ただ、インフルエンザなど妊娠中でも接種できるワクチンもあるので、医師に相談してみましょう。

異変があればすぐに受診を!

妊娠中に感染症にかかると母子ともに命に関わることもあるため、予防策を生活に取り入れることがまず一番大事です。

更に、体の調子が悪かったりいつもと違うと感じる体の変化があったら、かかりつけ医に相談したり、病院を受診することをおすすめします。

万一感染しても、処置が早ければ大事に至らないケースも多いため、早期発見、治療もとても重要になります。

また、普段から自分の体調で昨日と違うところはないかをチェックするようにしましょう。そして、症状が出にくい感染症でも血液検査などで発見できるため、妊婦検診は必ず受診するようにしましょう。
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