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子供の怪我を防ぐために幼稚園での戦いごっこは禁止されるべき?

2015/02/03

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年中・年長くらいの男の子の遊びの定番と言えば「戦いごっこ」ではないでしょうか?ママの中にはいつも悪役をやらされて、どうにかして!と思ってしまう方もいらっしゃるのでは?

ヒーローになりきって遊ぶ子供たちの姿は微笑ましいのですが、お友達同士で遊んでいると「怪我するんじゃないか、させちゃうんじゃないか」と不安になりますね。

実際に戦いごっこを禁止する幼稚園や保育園も増えてきているようです。確かに怪我は避けたいですが禁止すればいいものでしょうか?保育士であり年長男児の母である著者がその是非を考えます!

園の対応はさまざま

園の方針によって戦いごっこに対しての考え方は大きく違っているようです。

全面的に禁止

まず何を戦いごっこと呼ぶのが曖昧ではあるので、ヒーローの真似をして変身するのまでNGなのかどうかは分かりませんが…。

相手をやっつけるような遊びはやめましょうねということなのでしょう。一方的な暴力やいじめに発展する可能性も考えてのことなのかもしれません。

制限ありでOK

武器になるようなものを使ってはいけない、部屋の中ではいけないなどと怪我のリスクを減らすような制限を設けているという園が一番多いでしょうね。

保護者からは危ないのでは?という声がありながらも、危険のないようにしっかり見守りながら遊ばせていこうということですね。

制限なし

制限なしといっても何をしようが全く放っておくということではありませんよね。はじめからルールを決めるということではなくて、子供たちの状況を見ながらストップをかけられるように見守っているということでしょう。

戦いごっこを禁止する本当の理由?

私自身は戦いごっこはじゃんじゃんやればいいと思っています。昔から子供たちはチャンバラごっこで戦って遊んできたはずですよね。私の子供の頃もそういう遊びをしてきましたし、危険もあったのかもしれませんが禁止された覚えはありません。

では何故今になって「禁止」する必要が出てきたのかという疑問が出てきます。

これにはいろいろな遊具が公園から姿を消していることと同じ理由が見えてきませんか?この遊具はここに子供が挟まるかもしれず危ないから撤去。この遊具はグラグラするから子供が落ちる危険が多いから固定…。
何でも「危ない」と制限してしまうことで、確かに子供が怪我をすることは減っているのかもしれません。でもその裏には怪我により責任を問われる大人を減らそうとしているという事実が見えてしまうように思えます。

私が保育士として働いていた時に「保護者の方は『お客様』なのだ」と園長に言われたことがあります。預けに来てくれる人がいなくなると園は潰れてしまうと。そのためには怪我や事故は起こしてはならない、クレームへの対応も細心の注意を払うようにと。

もちろん全ての園がそういう考えを持っているわけではないでしょう。園の方針に異議があるなら転園してくださいという強気なところもあるでしょう。ただ戦いごっこの禁止にはそのような事情があるのではと思ってしまいます。

戦いごっこで何を学ぶのか

危ないことには変わりないんだから、やっぱりあんまりやらせたくない…というのは親ごごろかもしれませんね。では私が戦いごっこをやればいいと思う理由をお話します。

力加減を知る

格闘技に大人も興奮するように人間(特に男性)には戦う本能が備わっています。強いものが生き残り、子孫を残し、繁栄してきたわけです。

昔から子供たちは取っ組み合いをして体を鍛え、また身を守る方法を自然と身に付けてきたんですね。これは野生の動物たちも一緒。子供の頃にじゃれ合って遊ぶ中で体の使い方や力加減をマスターしていくんですね。

今の子供たちはこのように同じ年齢の相手と体をぶつけ合って遊ぶ機会を極端に奪われています。お友達と遊ぶ時にも痛いことをさせないように、怪我をさせないようにとママは目を光らせていませんか?

戦いごっこは本当のケンカではなく戦う真似をすることで、ここまでは大丈夫、これはやり過ぎという加減を言葉ではなく体で覚えていく、現代を生きる子供にとって貴重な機会です。

協調性が必要

「戦い」にばかり目がいってしまうんですが、これは「ごっこ」遊びなんですよね。なので本当に戦うわけではなく遊びの範囲であるべきなんです。

そのためには役割分担が必要ですし、いつまでも敵が倒れなければ終わらないわけです。実際に「うお~、やられた~!」と悪役の子がオーバーアクションで倒れてくれるような戦いごっこはとても盛り上がるものです。

みんなヒーローをやりたいけどそうもいかない、やられたくないけどそれじゃ面白くない。悪役は順番でやろう、乱暴するなら仲間に入らないでといったルールを自分たちで決めながらでないと成り立たないんですね。

お母さんごっこでもみんながお母さんをやりたがると成立しないですよね。順番でするとかじゃんけんにするとかして話し合って決めますよね。

ごっこ遊びをするためには協調性が必要。どうすれば遊びがうまくいくのかを子供たちが試行錯誤して出来上がっていくんですね。

正義は勝つ!

ヒーローものって典型的な勧善懲悪ですよね。正義の味方が人々を苦しめている悪を倒すというもの。時代劇もこういうものが多いですね。

武力行使なんて良くないというのは確かにそうかもしれないけれど、話が通じないような悪者はやっつけるしかない!というのは理にかなったこと。

現在はちゃんと法律がありますから警察が法を犯した者を捕まえて、刑を裁判で決めて刑務所へと送られるわけですよね。仕組みとしては正義が悪を封じ込めているというのには変わりないですよね。

悪者をやっつけようというのは子供にもとても分かりやすいんですね。暴力で倒すなんて今どきではないからと、子供がごっこ遊びで「警察だ!逮捕する!」なんて言って牢屋へ悪者を入れるなんて遊びをしていたら「どこで覚えたの?」って思いませんか?

ヒーローは弱いものに優しく、自分の身が危なくても悪者に立ち向かっていくとてもカッコいい、あこがれの存在なんです。正義感が子供の中にも育っていくことでしょう。

創作意欲が湧いてくる

工作にあまり興味がない子供でも、ヒーローが持っている剣やベルトなんかを自分で工夫してとても上手に作るものです。そしてそうやって自分で作ったものは子供にとって大切な宝物ですよね。

「こんなの危ないから使わないでよ!」と言うのではなく「お!すごく上手にできてるね!カッコいいね!」と言ってあげたいですよね。するとどんどんいろいろなものを考え出して目をキラキラさせて作るようになりますよ。

どこまでならOKかを判断できるように

もし幼稚園が全面禁止なら仕方ありませんが、もし戦いごっこが好きなら園を離れた場所ではどんどんさせてあげてください。かといって何でもOKではありませんね。ここからが大切なところです。

桃太郎もヒーローだ!

そもそも「戦いごっこ」って何を指しますか?先ほどヒーローものは勧善懲悪だと言いましたが、例えば昔話の「ももたろう」もそうですよね。

村の宝を盗み若い娘をさらって行った鬼たちを退治しに行く桃太郎は、ヒーローそのものではありませんか?もし戦いごっこを禁止されている子供が「桃太郎ごっこしよう」と言い始めたらどう判断すればいいんでしょう。

「じゃあ、鬼をやっつけるところ抜きで」なんておかしいですよね。そんなの桃太郎じゃないと思いませんか?桃太郎は実在していて鬼は村を襲った海賊だという説があるそうです。鬼をやっつけて宝物を取り返してこそ、桃太郎ですよね!

戦うところだけを見てしまうと危ないように思えているかもしれませんが、子供たちの遊びにはちゃんとストーリーがあって自分たちの世界があるんです。それを制限することからは何も生まれないと思うんです。

子供たちに考えさせる

要は、危ないことはやめようということを徹底すればいいわけですよね。また嫌がる子を無理に仲間に入れないこと、役割分担はみんなで話し合って決めることも大切ですね。

でもこれを最初から子供に「このようにするなら遊んでいいよ」というのはちょっと違うんです。さあ、遊ぼう!と思っている子供たちはそんなこと言われてもぽかんとするだけですよね。

まずは自由にやらせてみましょう。これは危ないと思った時点でストップをかければいいんです。ちょっとぐらい痛い思いをした方が「これはやり過ぎなんだ」とだんだん学んでいくことができます。

「痛い~~~!!○○くんがぁ~~!!」なんて泣いて遊びが終わってしまうこともあるでしょう。でもそこで「じゃあ、戦いごっこはもうやめて」と言ってしまっては台無し。遊びを楽しいまま続けるためにはどうすればいいか子供に考えさせるんです。

「この武器は危ないから使うのをやめよう」とか「体に当てないようにしよう」とか自分たちでルールを決め始めるんですね。子供たちは遊んでいるんであって、お友達に痛い思いをさせようとしているわけではないんです。

みんなで楽しむためにはちゃんとルールを決めること、ルールを守ること。これはどんな遊びにも共通しますよね。そこを守れないような子は仲間に入れてもらえないようになっていくはず。

一緒に遊びたいならちゃんとルールを守らなきゃいけないということを子供ながらに知っていくことができますね。こうして自分たち独自の「ここまではOK」というルールが出来上がっていくんです。

子供に「遊ぶ自由」を!

いろいろと書いてきましたが、私個人の意見としては戦いごっこを禁止するメリットは何もないのではと考えています。

危ないと言い出したらきりがないんです。遊びを制限すると子供を守っているような気持ちになってしまいますが、それでは子供自身には自分で身を守る力はつきませんよね。

子供は遊びから生きるための術をたくさん学んでいます。子供の遊ぶ自由を奪う権利は大人にはないですよね。戦いごっこが危なくなるのは周りの大人の責任です。何が危ないかを自分で判断でき、遊びを満喫できる子供が増えることを願っています。

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