顕微授精ICSI方法や痛み!胚移植で妊娠確率を高める高度生殖医療

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2017/01/24

不妊に悩むカップルは増加傾向にあり、タイミング法や人工授精の一般不妊治療では妊娠が望めないという夫婦も増えてきています。

女性の年齢や身体の状態、男性不妊の状況から、高度生殖医療へのステップアップを勧められることも少なくありません。

顕微授精は高度生殖医療のひとつで、体外受精でも妊娠が難しいというケースでも妊娠の可能性を高めることができる治療方法です。

ここでは顕微授精の採卵から胚移植までの流れや、治療にかかる費用、妊娠する確率などについて紹介していきます。

受精方法に違いがある!顕微授精(ICSI)

顕微授精(ICSI)とは、高度生殖医療の一つで、卵子と精子を体外で受精させるという方法です。

大きな流れは、体外受精と変わりませんが、受精方法に違いが出てきます。顕微授精の場合は、顕微鏡下で細い針を使って、1個の精子を卵子の細胞内に直接注入していきます。

顕微授精は1992年にベルギーのPalermoらによって、初めて妊娠例が報告されました。日本では、1994年に分娩例が報告されて以降、年々実施件数が増加してきています。

重度の男性不妊の場合、運動率や数の問題から体外受精や胚移植を行ったとしても、妊娠に至ることは難しいとされてきました。

しかし、顕微授精によって、通常の体外受精や胚移植での受精が難しかった症例でも、受精が可能になり、妊娠に至る可能性が高まったのです。

重度の男性不妊でも期待が持てる!顕微授精が適応となる場合

顕微授精が適応なるのは、顕微授精以外の方法では妊娠が見込めない場合です。

具体的には、これらの場合には適応となります。

  • 重症の男性不妊(乏精子症・精子無力症・無精子症)
  • 奇形精子が多い
  • 体外受精を繰り返し行っても受精・妊娠しない
  • 抗精子抗体がある
  • 卵子のグレードがよくない
通常の体外受精を行って、受精率が悪かったというときにも、対象となることがあります。

また、子宮内膜症が進行し、癒着による卵管閉塞がある時にも、体外受精が行われ、場合によっては顕微授精を実施することがあります。

見通しを持って安心!顕微授精の流れ

顕微授精の大きな流れは体外受精と変わりませんが、精子と卵子が出会う方法が違ってきます。

  • 排卵誘発を行い、卵巣を刺激する
  • 採卵と精子の採取を実施!
  • 高度な技術!顕微鏡下で受精を行う
  • 培養で細胞分裂を進めていく!
  • ベストのタイミングで胚移植を行う
  • 黄体ホルモンを補充して着床を助ける
  • 移植から2週間後、病院での妊娠判定

このような流れで治療を行っていきます。流れを把握して、万全の体制で治療に臨めるようにしましょう。

排卵誘発を行い、卵巣を刺激する

卵巣から排出される卵子の数は、一般的に毎月1個です。実際にはそれ以外にも卵胞が発育しているのですが、排卵されるものは最も優れた卵胞ただ一つで、それ以外は身体に吸収されてしまいます。

排卵誘発(卵巣刺激)を行うことで、本来なら消えてしまう卵胞も育てることができ、良質な卵子を多数採取することができます。

これによって、治療の成功率もアップしていくという訳です。

排卵誘発方法は、年齢やホルモン値、これまでの治療歴、通院可能回数など、それぞれの人によって異なります。

代表的な排卵誘発方法には、クロミットなどの飲み薬や注射などの低刺激法、ロング法、ショート法、アンタゴニスト法などの調節刺激法があります。

良質な卵子を多数採取できるというメリットもありますが、何種類もの薬を服薬したり、通院を繰り返したりすることから、負担が増えるということも事実です。

最近では、自然排卵と同じように、育った1つの卵子を採卵していく自然周期治療を推奨しているクリニックもあります。しかし、自然周期なので、通常採卵できる卵子は1つになります。

どちらの方法が夫婦の意向に沿っているのか、自分たちの身体と合っているのかを、医師に相談しながら決定していきましょう。

採卵と精子の採取を実施!

排卵直前の卵子を採卵します。超音波をあてて、モニターを見ながら、膣から長い採卵針をいれていきます。

採卵針で一つ一つの卵胞を吸引し、採卵を行います。

病院によって、全身麻酔を使用したり、局所麻酔を使用したりします。病院によっては、痛みをなるべく減らし、無麻酔で採卵を行うところもあります。

男性は、女性の採卵のタイミングと合わせて精子を採取し、提出します。あらかじめ精子を凍結保存しておくことも可能です。

採卵と胚移植の周期を分けた方が妊娠率が高まるという場合は、その周期を採卵周期とし、採卵のみを行うことがあります。

高度な技術!顕微鏡下で受精を行う

卵子と精子を専門にあつかっている培養士が、採卵した卵子と洗浄した精子を受精させていきます。

卵子に針を刺して、透明帯の内側に精子を直接注入します。この時に選ばれる精子は、一つの卵子につき一つで、運動性が高く、形態的な異常のない優秀なものが選ばれていきます。

技術を必要とする、とても高度な医療で、実施できるのは高い技術のある培養士がいる病院のみです。

体内に近い環境で細胞分裂を進めていく!

受精卵である胚を、培養液に入れて培養します。この時に、卵管と同じような温度や酸素・二酸化炭素濃度の培養器内で、管理・保管されていきます。

採卵2日目には4分割、順調にいけば3日目には8分割(初期胚)、4日目に桑実胚、5日目に胚盤胞に分割していきます。

顕微鏡下で卵子の中にうまく精子を注入し、受精したとしても、無事に細胞分裂が進むとは限りません。

受精し、細胞分裂をしていく可能性の高い精子や卵子を選んではいますが、卵子や精子の質によっては、分割がうまく行われない可能性があることも忘れないようにしておきましょう。

ベストのタイミングで胚移植を行う

分割の進んだ胚をそれぞれの状態に合わせて移植していきます。子宮内膜が厚くなり、胚を迎え入れる環境が整ったところで移植を行います。

移植にもいくつかの種類があり、採卵した周期で胚を子宮に戻す新鮮胚移植や、受精卵を一旦凍結させて次の周期に融解させて戻す凍結融解胚移植などがあります。

凍結保存した凍結胚を移植することで、一度にたくさんできた余剰胚を保存することができ、妊娠チャンスを増やすことができます。

最近では、胚が子宮に向けてシグナルを送るというプロセスを利用する方法も注目されています。

培養時に放出された受精卵から出る物質を、先に子宮にいれてから胚盤胞を移植するSEET法や、分割期胚と胚盤胞を同じ周期で連続して移植する二段階移植などの方法もあります。

多胎妊娠を防ぐために、一度に戻せる胚の数は決められています。

それぞれの人の身体の状態に合わせ、先生と相談をして、ベストのタイミング・方法で移植を進めていきます。

移植した後は、しばらく病院で休み、その日のうちに帰宅することができます。

移植後は普段通りの生活を送って大丈夫ですが、激しい運動は控えるようにした方が安心です。

黄体ホルモンを補充して着床を助ける

着床を助けるために、注射や飲み薬、座薬などが使用して、黄体ホルモンを補充します。

ホルモン補充の最中は生理がこないという人も多数います。判定日までは、ストレスをためず、穏やかな気持ちで過ごせるようにしましょう。

移植から2週間後、病院での妊娠判定

胚移植から約2週間後に、尿検査、血液検査などで妊娠判定を行ないます。

陽性反応がでたら、妊娠を維持するために、座薬や飲み薬などで黄体ホルモンを補充していきます。

病院や人によって痛みの程度はそれぞれです…

顕微授精の過程で感じると言われるのは、「筋肉注射」と「採卵」です。

治療の過程で排卵誘発などの筋肉注射を打つことがあるのですが、この注射を連日行っていくことに辛さや痛みを感じる人は多いようです。

また、採卵時の痛みについては、「全く痛みを感じなかった」「針を刺す時にチクッとした」など感じ方は千差万別です。

局所麻酔を使用している場合と、無麻酔の場合とでは、痛みは変わってくるので、一概に痛みの程度を決めつけることはできません。

子宮の形は一人一人違いしますし、痛みの感じ方は人それぞれです。病院の治療方針もあると思いますが、どうしても不安があるという時には、局所麻酔を使用してもらえないか一度相談してみるようにしましょう。

保険は適応外!顕微授精の費用

顕微授精では保険が適応にならないので、平均的な費用は、一回あたり約300,000~600,000円かかります。病院によっては一回に1,000,000円かかるという所もあります。

服薬する薬や、治療内容で金額は大きく変わってきますし、治療費用は成功報酬になっている病院もあります。

銀行での不妊治療ローンや国からの補助もあるので、高額になる費用を上手に工面して治療を行っていきましょう。

受精率は70%以上!受精率と妊娠率

顕微授精で精子と卵子が出会い、受精率は70%以上で、受精した卵の90%ほどが卵割します。また、妊娠に至る確率は、年齢により異なります。

【年齢別妊娠率】
29歳以下・・・・・68.8%
30~34歳・・・・・40.0%
35~39歳・・・・・25.6%
40歳以上・・・・・20.6%

クリニックによっても実績は異なりますが、妊娠率は年齢の影響をうけているという
ことは事実です。年齢とともに流産率も高くなります。

知っておこう!顕微授精のリスク

自然妊娠と比較すると流産や子宮外妊娠が起きる可能性が高く、早産率や低出生体重児の確率も若干増加します。

また、先天性の異常(染色体異常)や帝王切開率も自然妊娠と比較すると若干増加するという報告が上がってきています。

子どもが生まれるためには、母親と父親それぞれの遺伝子情報や染色体が子供に引き継がれていきます。

現時点では、確かな結論がでているわけではありませんが、染色体異常などの先天性の異常は、受精や胚移植の手法で変わるわけではないと考えられています。

染色体異常は、加齢による卵子や精子の質の低下など、もともとのカップルに何かしらの原因があって発生するものであって、顕微授精だから起きやすいというものではないとされています。

自分たちらしく、ゆっくりと治療しましょう

顕微授精は、妊娠率が高く、実績も増えてきてい治療方法です。人工受精や体外受精では妊娠が難しくても、顕微授精で妊娠したという人もたくさんいます。

一方で、通院や薬を使用していくので、身体に負担がかかりますし、高額な治療費がまとまって必要になります。

どのように治療を進めていきたいのか、夫婦でよく相談して、悩んでいることは病院にも相談するようにしましょう。

病院でも、治療方法や治療計画について相談にのってくれると思いますよ。

時には立ち止まったり、振り返ったりしてもいいんです。自分たちらしく、納得のいく形で治療を進めていきましょう。
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