胎児性アルコール症候群の症状は?妊娠中の飲酒のリスクを考える

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2017/06/16

妊娠中なので飲酒を控えている女性

妊娠中の飲酒は胎児に様々な影響を及ぼします。それらを代表する症例が、胎児性アルコール症候群です。

胎児性アルコール症候群とはどのような病気なのでしょうか。そうならないために、妊婦さんはどのような注意をすればいいのでしょうか。

妊娠中の飲酒で胎児に起こりえるリスクが胎児性アルコール症候群!

妊婦さんがお酒を飲むと、体に入ったアルコールは赤ちゃんの体にまで届きます。そのため赤ちゃんが飲酒をしている状態になってしまうのです。

内臓が未成熟で、きちんと消化や代謝が出来ない赤ちゃんが、お酒を飲んでしまったらどんな危険性があるのでしょうか。

母親が飲酒をしていると新生児に以下のような症状が現れるリスクがあります。

  • 顔面の奇形
  • 低体重や低身長
  • 脳障害
  • 中枢神経障害(ADHDや精神発達の遅れ)の可能性
  • 学習障害や対人関係の障害となる可能性

これらはすべて、胎児性アルコール症候群の症状と考えられています。原因はアルコールによって胎児の成長が妨げられることです。

胎児性アルコール症候群は、中枢神経障害の一つです。妊娠中に胎児の中枢神経の発達が阻害されることによって、発育に障害が起こって発症します。

アルコール依存症の妊婦さんほど発生率は高く、全体の3分の1にこれらの症状が見らるという統計があります。

これは喫煙でも同様のことが言えます。妊婦さんが喫煙することによって、体内の血管が細くなって血流が悪くなります。

そのために、赤ちゃんに送られる血液の量が少なくなって、発育不全が起きるのです。神経の発達にも影響を及ぼします。

大人の肝臓でも、体質によってはアルコールの分解に大きな負担が掛かります。それを、未成熟な赤ちゃんの肝臓で行うなんて無理です。

その結果、胎盤を通して体に入ってしまったアルコールは、分解、代謝されることなく赤ちゃんの体に蓄積されます。

この分解されなかったアルコールの毒素が、神経の発達を阻害するために、脳や顔面の奇形となって表れてしまうのです。

発生する確率は?
厚生労働省によると、1991年時点では0.1人以下(出生数1000人に対して)とのこと。ただし、女性の飲酒率の増加により今後増えてくる可能性が懸念されている。

独特な容貌になる胎児性アルコール症候群の新生児

胎児性アルコール症候群になってしまった赤ちゃんは、特に顔面に特徴が出ると言われています。具体的には以下のようなものです。

  • 頭が小さい(小頭症)
  • 顔が平たい
  • 耳の位置が低い
  • 目が小さい
  • 顎のかみ合わせがわるい
  • 鼻が小さい
  • 鼻の下の溝が薄い

赤ちゃんの顔にこのような特徴がみられたら、それは妊娠中の飲酒の影響でしょう。これらの奇形は治療法がありません。一生付き合っていくものなのです。

この中でも深刻なのが小頭症です。頭が小さく生まれてしまっているために、脳の容積が小さく正常な発達が妨げられてしまいます。

そのため成長した後も日常生活がままならなかったり、知的障害が見られたりなどするケースもあるのです。

成人後の精神疾患への影響

胎児性アルコール症候群は、完治する方法が見つかっていない病気です。そのため成長後も子供の生活に様々な影を落とします。

最近注目されているのが、注意欠陥多動性症候群の原因にもなるというものです。

注意欠陥多動性症候群
発達障害の一種です。近年この症例に診断される児童や成人が増えてきています。

コミュニケーション能力に問題があり、学校や職場でのトラブルの原因になっています。

この障害の特徴は、じっとしていられない、集中力が続かない、衝動的な行動が抑えられないなどです。

学級崩壊の原因の一つともされてきた深刻な問題です。原因は先天的な脳の神経障害と考えられています。

注意欠陥多動性症候群を発症しているために、対人関係をうまく築くことが出来ずにいじめられたり、不登校になるなどの事例も報告されています。

このほかにも、胎児性アルコール症候群だった子供が成人後にうつ病になる可能性もあります。現在研究が進められています。

胎児の時に受けたアルコールの影響は、脳の発達に大きく影響することから、必然的に精神の発達へも影響するのです。

アルコールの影響は個人差が大だが、僅かの量でも控えるべき!

妊娠初期には、まだ胎盤が形成されていないので、赤ちゃんにアルコールが送られる心配がありません。

ですので、妊娠超初期に飲酒をしても、お腹の中の赤ちゃんにはあまり影響がないという研究結果があります。

しかし、妊娠中期以降にどれだけアルコールを摂取したら胎児奇形が現れるのか。その実際の量はよく分かっていません。

アルコールの摂取量が胎児に与える影響は、非常に個人差が大きいのでまだまだ研究の途中なのです。

判断基準として以下のようなものが考えられています。

  • 妊娠時の栄養状況
  • いつ、どれだけ飲むかなどお酒の飲み方
  • 母親の体重
  • 肝臓のアルコール分解能力

ウィスキーやウォッカなど、アルコール度数の高いものは、それだけ胎児に届くアルコール量も多くなります。そのため影響の出方が強くなるのです。

これらに加えて、血中アルコール濃度が急激に高まる、つまり一度に大量に飲酒すると、胎児への影響も大きくなると考えられています。

しかし、同じように飲酒していた母親の子供でも障害が現れる度合いが異なっていたり、条件が同じの筈の双生児でも、症状に差があることがあります。

どんなお酒をどれだけ飲んだら、胎児に影響が現れるのかについて、はっきりした結論はまだ出ていないのです。

個人差があり飲酒量の制限値が分からないのは、結局どれだけのアルコールが胎盤を通って行くのか分からないからでしょう。

胎盤の中を通る血液の量を調べることは出来ません。また妊娠の度に胎盤の作られ方も違ってきます。

子供にすべて個性があるように、同じ胎盤は二度と形成されないのです。この点が、飲酒の影響を不明瞭にしている一番の原因かもしれません。

また、日本人女性の体質は、アルコール分解酵素が働きにくく更に男性よりも体質的にお酒に弱い傾向にあります。

危険因子である以上、それを断ち切ることで赤ちゃんへの影響がないのであれば、妊娠中はアルコールはNG!と決めて禁酒することが一番です。

発症すると一生付き合わなくてはいけない胎児性アルコール症候群

胎児性アルコール症候群の症状は、主に先天的な奇形として現れます。そして関連して精神や行動の障害が生じます。

それはこうした赤ちゃんがお母さんのお腹の中に居る時に、お酒のせいで神経の成長を阻害されてしまったからです。

妊娠中の飲酒はこのようにとても怖いものなのです。奇形が現れてしまうと、現代の医学では治療が出来ません。特に小頭症の赤ちゃんはその後の人生が心配です。

精神疾患や知的障害を伴う胎児性アルコール症候群。発症すれば一生付き合っていかなくてはなりません。

そのために子供の人生を左右しかねない病気です。赤ちゃんが健康で安定した生活を送れるように、妊娠中はお酒を飲まないように注意しましょう。

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