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大人も子供も危険…麻疹の症状と対策!予防接種や抗体検査の重要性

2016/09/08

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2016年8月下旬、麻疹(はしか)に感染した19歳男性が大物海外シンガーの国内ライブに参加し、全国から集まった観客全員が感染した可能性がある、という報道が国内を駆け巡りました。

わずか数日後、今度は関西空港で働く職員さんたち40人近くが集団感染し、空港というインフラから一体何人の人が感染したまま全国へ散ったか分からない、という続報が入りました。

医療関係者たちは次々と警鐘を鳴らしています。このままでは麻疹のパンデミック(大流行)になり、どれほどの死者が出るか分からない、と。

たかがはしかでしょ?とお思いでしょうか。そんなに怖いの?どうしたらいいの?と不安になった方もいらっしゃるでしょう。

はしかは昭和の時代に「誰でも一度はかかる病気」「予防接種よりかかったほうが安く済むし強くなる」「一度なってしまえば大丈夫」と軽んじられてきたせいもあり、日本では未だに撲滅できず毎年感染者・重症化し障害を持つひとや死者を出しています。

麻疹についての情報は錯そうしています。今回は麻疹の基本情報だけでなく、大人でもかかることはあるのか、予防接種はどうしたらいいのか、などについても網羅しました。

正しい知識と対処法、今からできることを学んで、幼い赤ちゃんやお子さんはもちろん、ご自身やご家族皆さんをしっかり守り、感染拡大を皆で防いでいきましょう。

なぜ恐れられるのか…麻疹の本当の怖さは感染力と症状の酷さ

医者、看護師、薬剤師といった医療従事者たちが今回のニュースに震撼したのは、麻疹の本当の怖さを知っているからです。ポイントでまとめてみました。

  • 似た症状でもインフルエンザの10倍の感染力と100倍の致死率
  • 空気感染する(普通のマスクでは防げない、すれ違っただけで感染する)
  • 重症化すると肺炎や脳炎を起こし、障害が残ることも
  • ウィルス病のため治療薬がなく、一度かかると体力勝負
  • 大人になって初めてかかると重症化しやすい(100人に1人の死亡率)
  • 5歳以下の乳幼児も比較的重症になりやすい
  • 亜急性硬化性全脳炎(SSPE)は病後5~10年して発症
  • 妊婦がかかると流産早産、赤ちゃんが死亡するリスクが
  • 感染した場合は適切かつ慎重な行動をしないとさらに感染拡大させてしまう

ざっとまとめるだけでこんなにたくさんあるんですね。そして怖いことばかりです。知っているはしかと全然印象も違うのではないでしょうか。

だからといって無闇に怖がるのではなく、きちんと知ったうえで適切な対処をしていくことが大切です。詳しく見ていきましょう。

風邪かな、と思ったらどんどん酷くなる!麻疹の基本的な症状と経過

麻疹は、風邪と症状が似ていることからただの風邪だと思ってしまうことも多いです。お医者さんでも風邪だと誤診してしまう人がいるようです。

重症化を防ぎ早く治すためだけではなく、感染を防ぐためにも大切なのは早めに気づいて入院などの措置をとってもらうことなので、麻疹の症状をよく知っておきましょう。

【潜伏期】

10日ほどの潜伏期間は何の症状も出ませんが、人に感染します。潜伏期のうちに免疫グロブリンを打てば、発症を予防できます。感染した人のうち、95%が発症します。

【カタル期(前駆期)】

感染力が最大となるこの時期は3日ほど続きます。38~39度の発熱や咳・鼻水といった風邪に似た症状の他、結膜炎で目が赤くなったり、口の中の粘膜にコプリック斑と呼ばれる白い斑点が出現します。

※カタル期に麻疹と診断されることができれば、まず入院になります。

【発疹期(急性期)】

一旦解熱して再び40度を越える高熱を発し、全身に赤いぶつぶつができる発疹期は4~5日続きます。発疹出現から諸症状はさらに悪化し、重症化すると肺炎や脳炎などの合併症を発症、最悪死に至ります。

※喉の中にまで発疹が広がり、呼吸困難になったりもします。発疹期も入院治療です。

【回復期】

3日ほどの回復期のうちに諸症状や発疹は治まりますが、色素は沈着したままぶつぶつの痕が見られます。この期間も外出禁止です。

恐ろしいのは潜伏期でも感染力があることです。ニュースなどをしっかりチェックして、麻疹患者の情報が上がれば同じ場所に行っていなかったか確認し、もし接触の恐れがあったなら分かった時点で病院を受診してください。

大人が感染した場合、カタル期の結膜炎(赤目)にまず気づいて眼科に、発疹で皮膚科に、妊婦さんは産婦人科に行ってしまいがちですが、他の症状をチェックして疑わしければ内科を受診しましょう。

なお、後述しますが、病院を受診するときは必ず電話連絡を一本入れて麻疹の疑いがあることを伝え、隔離受診できるように病院の指示に従ってください。

同じ場所にいただけで感染!空気感染は最強最悪の力

麻疹が恐れられる最も大きな理由が、感染力の強さです。風邪やインフルエンザよりも感染力の強い麻疹は、結核などと同じように空気感染する特徴を持っているのです。

これがどれほど恐ろしいかと言えば、例えば数十メートル離れているところから感染者がくしゃみや咳をすれば感染します。

感染者がエレベーターに乗って降りたとして、そのあとそのエレベーターを利用するだけで感染します。飛沫感染とは違い、空気感染は直接体液が付着しなくても感染してしまうのです。

ニュースで騒がれていた理由がもうお分かりですね。同じイベントや空港にいただけで感染が疑われます。最も怖いのは、感染者が病院を受診した場合、同じ待合室…いえ、院内の人はことごとく感染するわけです。

先にも書きましたが、風邪と間違ったり眼科や皮膚科、果ては産婦人科まで受診する人が出るわけなので、感染拡大はあっという間なのです。実は、2014年に高槻で麻疹が流行した際は、病院から感染が拡大しました。

だからこそ、感染したかもと病院を受診する場合は先に連絡を入れ、適切な受け入れを指示してもらう必要があります。

重要なインフラ、公共機関、医療機関などが感染経路になってしまうのが感染症の実に恐ろしい点です。

合併症・重症化の怖さ…発症率・致死率も高く、後遺症も重い

高熱と体中にできる発疹で全身症状に1週間近くも苦しむことになるだけでも大変な体力を奪われ、闘いきれずに死んでしまいそうな思いをする人も多いです。

より怖いのは重症化した時。麻疹はウィルスなので、体のあらゆるところに入り込み、悪さをします。そしてその症状のひどさから多様な合併症も引き起こします。

【中耳炎】

麻疹にかかると5~15%ほどの人が中耳炎になるといわれています。発熱・耳だれ・難聴などを引き起こします。

赤ちゃんの場合、症状を訴えないこともあるので、しきりに耳を触っていたり痛がっていたりしないか確認して下さい。麻疹が終わっても発熱症状が治まらないときは中耳炎を疑いましょう。

【気管支炎】

麻疹の激しい咳から合併します。これも麻疹が治ったあとも長く続く激しい咳に悩まされることになり、体力も奪われます。

酷くなると肺炎を引き起こします。乾燥には気を付けて、病院もしっかり受診しましょう。

【肺炎・ウィルス性肺炎】

気管支炎の延長で肺炎になることも。40度近い高熱が下がらず、咳と鼻水が止まらなくなります。呼吸困難、病後に酸素吸入器が手放せなくなることもあり得ます。

早急に治療が必要です。幼い子供は大変不機嫌になるので、様子をよく見て病院を受診してください。

【ウィルス性脳炎】

発疹器から2日~1週間の間に発症しやすい、最も恐ろしい合併症です。1000人に1人ほどの確率で発症します。

  • けいれん・意識障害、意識がもうろうとする
  • 頭痛がする
  • 嘔吐を繰り返している
  • 眠ってばかりいる

以上のような症状が見られたら、脳炎が疑われますので一刻も早く受診してください。脳炎となった場合の致死率は15%、神経学的な障害が残った人は25%にも上ります。

【亜急性硬化性全脳炎(SSPE)】

上記の脳炎の中でもさらに恐ろしいのが、SSPEです。発症は非常にまれですが、残念ながら起こらないとは言い切れません。日本では小児人口の100万人に0.57人の割合で発症します。

麻疹にかかったあとは何の異常もなく成長したのに、5~10年後に急に発症するのです。体内に麻疹ウイルスが残っていて、それが脳に入り炎症を起こすと発症。

歩いたり話した理ができなくなり、寝たきりの状態になり、数年から十数年で死に至る可能性もあります。

ウィルス病に治療薬無し。対処療法と体力勝負で治すしかない

麻疹に治療薬、治療法は存在しません。一度罹患し発症したら、ひたすら体が闘って勝つのを待つだけです。

病院で入院したとしても、合併症などへの抗菌剤などは投与されるかもしれませんが、麻疹そのものへの治療はありません。

それゆえにワクチンが重要になってきます。また、体力や免疫力を高めておくため、日ごろから十分な睡眠やきちんとした食事で栄養を取っておくことが必要です。

麻疹にかかっても割と平気な人もいます。でも、死んでしまう人もいます。交通事故と同じで、同じ事故でも病気でも軽傷で済むか重症・死んでしまうかはかかってみないとわからない、と言えます。

大人の麻疹は重症化しやすい…抗体を持っているかどうかが肝心

予防接種をしておらず、麻疹にかかったことがないまま大人になって初めて麻疹に感染すると、重症化しやすいといわれています。

実際に、死亡率が高いのは5歳未満の乳幼児と30歳以上の大人です。後述しますが、特定の年代は特に予防接種の接種率が低く流行を起こしやすくなっています。

2007年には15歳以上が感染する「成人麻疹」が大流行し、全国の学校で休校や学級閉鎖が相次ぎました。

ちょうど子供のころワクチンを接種していない、あるいは1回しか接種していない世代が中心となって流行したものです。

この流行の際には子供はあまり感染しておらず、ワクチン接種率の向上が感染を防いだことが如実にわかります。

また、医学部や看護学部の学生は集団ワクチン接種を行う学校が増えていたため、集団発生がありませんでした。

赤ちゃんは生後6か月以降、予防接種を受けるまでが怖い!

赤ちゃんは当然体力もなく免疫もまだまだついていないため、重症化しやすいです。

しかし、麻疹の予防接種(風疹と併せて、混合ワクチンであるMRワクチンを打ちます)は、1歳の誕生日以降。

母体からもらった免疫が切れるのが生後6か月くらいですから、それから予防接種を受けられるまでに麻疹にかかってしまうと大変です。この時期に他の子からうつってしまった麻疹で障害をもってしまった人もいます。

保育所に通っているお子さんだけでなく、麻疹は例えば病院や公共機関、モールなどでも簡単に感染しますから、感染予防には外出を控えることが第一となります。

子どもの麻疹、治ったと思ったら5~10年後に脳炎発症!潜む麻疹の怖さ

それまで順調に成長していたわが子が、ある日急に字が書けなくなったり、トイレができなくなったりする怖さ。

やがて歩けなくなり、しゃべることもできなくなり死に至る…本当に怖い合併症です。

だいたい似たような経過をたどる傾向があり、病状から4つのステージに分けられています。

第1期 軽度の知的障害(字が書けなくなる、勉強ができなくなるなど)、性格の変化、脱力発作、歩行に異常がみられるなど
第2期 けいれんのような不随意運動、知的障害が徐々に進行し生活に支障をきたす、運動障害も進み歩くなども困難に
第3期 体を動かすことも困難に、食事ができなくなる、体温調節やホルモン、自立神経にも異常を来し、様々な症状が出る
第4期 意識消失、筋肉の硬直、自発運動がなくなる

数年でこの経過をたどりますが、数か月で変化する急性型や数年以上かけてゆっくり進行する慢性型も役10%は見られます。

知的障害や性格の変化がみられるため、最初は精神病や反抗期を疑われることもあるようです。血液検査や脳波検査なども受けて、詳しく調べてもらうようにすることが大切です。

妊娠中は特にリスクが高い…流産早産だけでなく赤ちゃんが死亡することも

妊娠中に麻疹に感染すると、流産や早産の可能性が20~40%にも上がります。さらに、子宮内胎児死亡を引き起こすこともあります。

妊娠中にかかると赤ちゃんに奇形を齎したり障害を残す、と言われているのは風疹のほうで、麻疹ではそういう例は報告されていません。

妊娠中に麻疹の予防接種を受けることは基本的に禁じられていますし、麻疹の予防接種を受けた後半年は妊娠してはいけないと言われることもあります。

麻疹にかかってしまったら…感染の危険性を考え、適切な行動を

麻疹にかかった!と慌てて病院に行ったりしないでください。先にも書きましたが、麻疹はどんどん感染していきます。病院の待合室に感染者がいれば、その場にいた人はほぼ確実に全員かかってしまいます。

麻疹にかかってしまったとき、あるいは、麻疹感染者と接触したことが分かったら、次のように行動してください。

  • 病院に行く前に必ず連絡を入れる(隔離してもらう必要あり)
  • 外出厳禁、出席停止期間などを厳格に守る

たいていの病院で、別の入り口や別の待合・診察室を案内してもらえます。

お医者さんや看護師さんも感染してしまわないように対処する必要がありますから、いきなり受診することは絶対にやめましょう。

麻疹は入院治療が必要になります。この時も隔離された状態となります。

麻疹は学校感染症・第二種感染症に分類されており、発症すると出席停止になります。幼稚園、保育園、小学校以降の全ての学校が出席できません。

麻疹の出席停止期間は、「解熱したあと三日を経過するまで」です。お医者さんにもよく相談して、完全に感染可能性が無くなるまでしっかり守って下さい。

また、解熱したあとの回復期に出席停止なので学校は休んでる…けど元気だし遊びたい!などという行動は厳重に慎んでください。

2016年の麻疹流行、感染源は一人の男性と断定できています。この人が自身の回復期、発疹のある体でコンサートに行ってしまったことが原因で、全国的に危機をもたらすことになったのですから…。

ワクチン予防接種は接種歴だけでなく免疫がきちんとついているか確認を

治療薬のない麻疹への唯一の対抗手段、それはワクチン予防接種です。麻疹は全員が予防接種を受けることで根絶できる病気なのです。

それが日本では未だにこうして流行が繰り返されている背景には、ワクチンの接種率が低かった世代があることが大きく関係しています。

加えて、接種してもワクチンがつかなかったり、しっかり免疫ができる接種を行っていなかったり、長期間が経過して免疫が切れていたりするのです。

ワクチン接種のポイントは以下の4つです。

  • 2回接種しないと免疫はしっかりつかない
  • ワクチン1回で効果は約10年
  • 一度かかった人、終生免疫も30年しか持続しない
  • 三日はしか(風疹)は麻疹(はしか)ではない

親御さんに確認しても、「子供のころ一回かかったはず」「たぶん予防接種受けたと思うけど」と曖昧なことが多いものです。

ご自身が免疫抗体を持っているのか、今一度確認してみましょう。

ワクチン2回接種しましたか?年代別に接種歴をチェック

麻疹含有ワクチンは、一回接種することで、95%の人が免疫を獲得できるといわれており、定着率が高いことで有名です。

2回接種することで残りの5%の人、経年によって免疫が低下してきた人の免疫を増強することができます。

要は2回接種しないと免疫がきちんとつかないのですが、年代によっては接種率が非常に低い人たちがいます。以下で確認してみてください。

昭和37年以前生まれの人 ワクチンがなかった時代なので、自然にかかっているかいないかです。かかっていたとしても免疫が切れている可能性が高いです。
昭和37年~54年生まれの人 1回しか予防接種を受けていません。自然にかかっていたとしても、免疫が切れている可能性が高いです。
昭和54年~昭和62年生まれの人 このころ使用されていたMMRワクチンという麻疹・風疹・おたふくかぜのワクチンが重篤な副作用をもたらした薬害事件のため、ワクチン接種を避けたママさんが多い世代です。接種していた・自然にかかっていたとしても免疫が切れている可能性が高いです。
昭和62年~平成7年生まれの人 1回しか予防接種を受けていない可能性が高いです。自然にかかっていたとしても、免疫が切れている可能性があります。
平成7年以降生まれの人 予防接種を2回受けている世代です。ただし、平成16年までは義務接種でなかったため、接種していない人もいます。

母子手帳が一番詳しい記録です。ご両親に聞くだけでなく、手帳を確認してみてくださいね。

一度かかれば大丈夫、は過去の話。免疫ができても30年しか持続しない

麻疹に一度かかると一生免疫が持つと思われていたのは、昔は麻疹がまだまだ普通に流行していたため、何度もかかりなおすことで免疫を増強していたからだとわかってきました。

実際、大人になってまたかかったという人も見受けられます。

2回接種が基本とされているのもこうして重ねることで免疫を確実なものにするためです。しかし、終生免疫とは言えず、30年ほどで免疫が切れてくることもわかってきました。

2016年現在、子育て世代は20~40代。予防接種の空白世代を多く含むとともに、免疫が切れる30年ほどを経ている年代です。接種歴の確認だけでなく、免疫抗体を本当に持っているのかのチェックが必要になってきます。

「1歳になったらワクチンをプレゼントしよう!」は有名なキャンペーンですが、いずれは「還暦のお祝いにワクチンを」という時代が来るかもしれませんね。

あなたは本当に一度かかってる?三日はしか(風疹)と麻疹は違う病気!

親御さんに確認して、小さいころ一度かかっている、と言われても、実は麻疹でなかったりすることがあります。風疹と麻疹がよく似ているからです。

風疹は麻疹とよく似た症状が出ますが、麻疹と違って3日ほどで治ってしまうため、「三日はしか」と呼ばれています。

これを麻疹と勘違いしている人はかなり多いのです。そのために麻疹を軽いものだと思い込んでいる人もいます。

病院で診断を受けているかどうかも大切です。正式な記録を探すとともに、不確定な場合はやはり病院を受診して抗体があるかどうかを調べてもらうのが良いでしょう。

麻疹を無くそう!対策は、予防して発症を防ぎ、感染流行を無くすこと

ワクチンを打っていれば、例え年数を経て免疫が低下してきていても、麻疹にかかったときには軽い症状で済みます。麻疹とわからないほどの症状だったりもします。

しかし自分の症状が軽くても、感染源にはなりえます。感染流行を防ぐために意識しておくべきことがあります。

【予防のポイント】
  • 人の多いところに行かない
  • 麻疹患者と接触したことが分かったら、すぐに病院へ
  • ワクチンを打っておく

感染する病気は、個人の問題にとどまりません。被害も受けやすいため、しっかりと予防していく必要がありますね。詳しく見ていきましょう。

流行の危険性があるときは、特に人の多いところへは行かないように

何度も書いてきましたが、麻疹はとにかく感染力が高いです。普通のマスクや手洗いうがいではまず防げません。

感染者に接触しないことが大切になります。

麻疹が流行している、発生したというニュースが無いかをしっかり見ていくことも大切です。そしてそのような情報が入ったときは、人の多いところをなるべく避けるようにしましょう。

特に妊婦さんは、できる限り外出を控えるなどしてもやりすぎということはありません。また、同居している人には予防接種をしっかりしてもらいましょう。

感染者と接触後すぐに病院で対処してもらえば発症を防げることも

冒頭のケースのように、ライブ会場に感染者がいたとわかった場合、同じライブに行っていた人は感染の疑いがあります。

麻疹感染者と同じ空間にいた、という事実を確認できたなど、感染の疑いがある場合は早急に病院を受診しましょう。

症状が出る前の潜伏期のうちなら、対処のしようがあります。

接触から72時間以内にワクチン接種、または4日~6日以内にガンマグロブリンの筋肉注射を行うと、発症を防ぐことができます

ただし、ガンマグロブリンは血液製剤なので、医師と十分に相談しなければなりません。

いずれの方法も100%確実に発症を防げるわけではありませんし、感染力は残っている場合もありますので、外出を控えすぐに病院を受診できるようにしておきましょう。

また、感染の疑いがあるだけのケースでも、病院を受診するときには事前に電話連絡をすることを忘れずに!

一度かかった、一度打ったで済ませない!効果のあるワクチン接種を

ワクチン接種をしなければならないかどうかはどのように判断すればよいのでしょうか。また、実際にワクチン接種を受けるときは、どのようにしたらよいのでしょうか。

大人と子どもそれぞれのポイントをまとめてみました。

【大人】
  • 自分の罹患歴、ワクチン接種歴を確認
  • 抗体検査をする
  • 追加接種を受ける
【子ども】
  • 1歳のお誕生日にワクチン接種を
  • 流行の心配もあるなら、1歳前でも受けられる
  • 定期接種が基本。接種歴を確認して、追加接種を忘れずに

いずれも基本は、2回のワクチン接種と、抗体がきちんとできて免疫が働いているかを検査してみることです。

以下に、実際にやってみた筆者のリポートもご紹介します。また、気になるお値段は自治体の助成によって無料になることもありますので、しっかりチェックしてください。

大人のワクチン予防接種も可能。実際にやってみたリポートもご紹介

大人が追加接種を受ける場合、いきなり接種してもよいですが、まずは抗体検査を受けて免疫が残っているかどうか調べるのが良いでしょう。

一般的な手順は以下のようになります。

  1. かかりつけ医、近くの内科で抗体検査を受ける
  2. 抗体検査の結果を聞き、必要に応じてワクチン接種を予約
  3. ワクチンが届いたら、接種に行く

都合3回の受診と、2週間程度の時間、そして抗体検査とワクチン代でおよそ13,000円程度かかることになります。

【筆者体験リポート】

筆者が両親に確認したところ、一度かかった、というだけで予防接種は受けていないようでした。夫はかかったか接種を受けたかどちらも不明。

夫婦ともに30代、免疫が残っているかどうか不安だったので、抗体検査を受けることにしました。近くの内科に問い合わせたところ、予約もいらないとのことで即日受診しました。

抗体検査は血液検査です。注射で採血して、待ち時間を含めて30分ほどで終了しました。血液検査の代金はこの時に支払います。病院によって異なりますが、4~5,000円ほどです。

検査結果は1週間後に判明します。再度受診し、抗体価が低かった場合はワクチン接種の予約をします。ワクチンは取り寄せになるので、数日かかります。

接種できるワクチンには2種類あり、風疹・麻疹の混合ワクチンであるMRワクチンなら一回1万円~1万5千円、麻疹単体の単独ワクチンなら5千~7千円ほどかかります。

なお、予防接種を受けたことが無く一回も罹患していない場合は大人になってから2回接種することが必要になりますので、3~6週間空けて二度目のワクチン接種を受けましょう。

女性はその間3~4か月も避妊しなければなりませんから、子どもを授かりたい時期の前に終わらせておく必要もあります。

ワクチンにより免疫ができるまでには4週間程度かかります。近隣ですでに大流行しているときなどは、医師に相談して抗体検査を受けずに接種を受けることも検討してみてもいいかもしれません。

ただし、ワクチンには限りがあるので、免疫がある人は無駄に打つのは避けたいところです。

接種歴や罹患歴が不明な人は、できれば抗体検査をしっかり受けることをおすすめします。

自治体によっては無料検査や予防接種に助成を行っていることも

抗体検査も含めるとなかなかの出費ですよね。命を守るためとはいえ、躊躇してしまう方も多いと思います。

特に妊娠を望む男女に向けて、麻疹の無料抗体検査を集団で実施していたり、申請するとワクチン接種の助成を行っている自治体が多くあります。

お住いの自治体がどのような助成を行っているか調べてみてください。助成の申請は各自治体役所になりますのでお問い合わせください。

この場合、市役所で助成を申請してから病院に受診することになります。

1歳前でも受けられる!赤ちゃんと子どもの予防接種の方法

MRワクチン(麻疹風疹ワクチン)の接種が1歳からになっているのは、副作用の問題などではなく、1歳未満だと抗体の定着率が低いからです。

近くで麻しんウィルスの流行が確認できたりと心配な場合は必要性に応じて、6か月以上1歳未満でも任意で接種をすることができます。かかりつけの小児科に相談しましょう。

6か月未満は母体からもらった免疫があるためかかりにくい・かかっても重症化しにくいといわれています。なので、接種は生後6か月以降でよいでしょう。

また、その母体からもらった免疫が残っているうちに予防接種を受けると、母体免疫と中和しあって効果が薄くなります。

この場合もきちんと小児科で相談して、追加接種を検討してください。

予防接種ではしかの症状が出ることも…副反応なので軽く済む

ごくまれなケースですが、予防接種を受けてはしかにかかっちゃった!という方がいらっしゃいます。

しかし、この場合ははしかにしっかりかかったというよりは副反応として症状が出ているもので、本当の麻疹に比べても症状が軽く、期間も短く済みます。

発熱や発疹など麻疹と思われる症状が出ますが、病院を受診しながら冷静に対処していけば1週間ほどで治ることがほとんどです。

また、心配される声も多くありますが、2回目の接種での副反応の発生率は高くなりません。むしろ1回目よりも低くなります。

脳炎になったというケースも、平成8年、9年にそれぞれ1件ずつ報告されています。ワクチンとの因果関係が不明なものも含まれています。

リスクは重々考えなければなりませんが、罹患して死亡する確率よりもはるかに小さい数字であることは間違いありません。

時代・社会の変化で流行も病状も変わる。適切な処置で命を守って

「はしかにかかったようなもの」という慣用句があります。日本では、麻疹は誰でも一回はかかるもので、たいしたことはない、という感覚がまだ根強いです。

「昔ははしかにかかっても大したことなかった」「予防接種よりかかったほうが早い」という人もまだいます。でもそれは、麻疹で死亡した人を忘れているだけの発言です。

統計で観測できているだけで、60年前には麻疹で年間数千人の死亡者が出ていました。それが近年では数十人にまで減っています。

それよりずっと前、室町の昔から、「麻疹は命定めの病気」と言われてきました。麻疹で生きるも死ぬも運しだい、というような意味です。死んでしまうことは大いにあったのです。

重症化も後遺症が残ったケースも、それよりたくさんあったでしょう。しかし、現代にはワクチンが開発されています。

世界的に日本は麻疹の予防接種が遅れています。21世紀の今になっても麻疹感染者を出し続け、「麻疹の輸出国」と諸外国から嫌がられているのも事実です。

世界の状況を見ると、アメリカをはじめとする欧米諸国や韓国などの先進国では麻疹はほとんどなく、多いのは中国、日本、アフリカなどです。

アメリカでは予防接種の徹底で麻疹の感染者は人口3億人余りに対し年間100人程度、その感染者も不法移民や海外渡航者などによるものです。

南北アメリカや韓国で麻疹が撲滅できたのは、法律によって予防接種をしないと学校に入学できないとされているからです。公衆衛生の考え方が浸透しているのですね。

日本も2001年の麻疹小流行のあと、「1歳になったら麻疹のワクチンのプレゼントをしよう!」というキャンペーンが行われ、数年間で子供の麻疹は激減しました。

今後もこの状態は続いていくと思いますが、海外渡航後に麻疹を発症する人もいます。最近はこの「輸入感染流行」がほとんどです。

2016年のケースも最初の男性は海外渡航後の発症でした。

ご自身の免疫の状態を気にかけるとともに、こういったことにも十分注意して、予防接種や適切な受診により命を守っていきましょう。

感染しないこと、感染源になることのないように、皆でたくさんの命を守っていける社会にできるといいですね!

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